「エル」(監督ルイス・ブニュエル 92分)

話の内容は、嫉妬に駆られる町の名士

神父が信徒の足にキスする儀式を手伝いながら、フランシスコがグロリアの足にムラっとするのが、不謹慎でコミカルだった

執事のパブロがメイドの女に手を出して、メイドの女が泣きながら走って去って行くという演出・撮り口が印象に残った

ダムの建設現場のシーンが印象に残った

婚約者のラウルからフランシスコへと心が移り、フランシスコと結婚するグロリア、というストーリーが良かった

新婚旅行の列車で、初夜の時に、フランシスコがグロリアの過去の男性遍歴を問い詰め、グロリアが言わないと「疑惑は益々深まるばかりだ」と言ってふて寝するフランシスコがコミカルだった(そんな事言われたら誰だって怒って言わないのに、言わない事を責めるというのがオモロかった)

新婚旅行先の高台から見渡す景色のシーンや建物の前で記念撮影するシーンが印象に残った

新婚旅行先でグロリアに男の知り合いが声をかけたら、フランシスコはすぐに男との会話を打ち切って行ってしまったり、ホテルの食堂で男と一緒になったら男が自分の事を笑っているという被害妄想が出て食事を切り上げたり、男が隣の部屋に泊まっている事を知ったらグロリア目当てに隣の部屋をとったと感じて、男の部屋の鍵穴に針金を差し込んだり、男と殴り合いのケンカまでする、フランシスコの被害妄想・嫉妬心がコミカルだった

フランシスコがグロリアに弁護士の男を歓待してくれと言ったので、グロリアが弁護士とダンスを踊り庭に2人で出たら、フランシスコが自分で言っておいて嫉妬するのがコミカルだった

グロリアがフランシスコの異常な嫉妬心を母や神父に相談するも、母はフランシスコに言いくるめられて、神父はフランシスコを信頼し切っていて、グロリアに別れないよう説得するというのもコミカルだった

フランシスコが、グロリアが神父に話したと知って、恥をかかせたグロリアを拳銃の空砲で撃ち、グロリアが倒れる演出・撮り口がコミカルだった

フランシスコがグロリアに「気分転換にどこ行きたい?」と聞き、「映画」と言ったら「その気分じゃない」と言い、「競馬場」と言ったら「暑くてほこりっぼくて大バカ者が沢山いるから嫌だ。幸せなバカは嫌いだ」と言って、教会の高い所にある鐘の所へ連れて行き、「汚れた悪の世界から解放されるようだ」と言ったり、人々を見下ろしながら「ミミズ達なんか一瞬でひねり潰せる」と言ったり、「人々は嫌悪する存在で私が神なら許せない」と言ったりして、グロリアをドン引きさせ、その後にグロリアを罰するとしてグロリアの首を絞め、教会から落とそうとしたら、グロリアが逃げ出し、フランシスコが「お前も下の人々のような悪に染まるのか?」と言う、セリフのやり取りが最高にオモロかった

「それでもフランシスコは奇妙な形で自分を愛してくれているから別れられない」とグロリアが言うストーリー展開もオモロかった

ラウルの車から降りたグロリアを、フランシスコが遠くから見ているシーンが怖かった

フランシスコが夜中イライラして、鉄の棒で階段の手すりをガンガン叩くのが、邸中に聞こえるのが怖かった

夜寝ているグロリアの所に、首吊り用の縄を2つ持ったフランシスコがやって来て、縄で首を絞めようとするが、グロリアに気づかれて騒がれて、失敗するのがオモロかった

最後家から出て行ったグロリアを、拳銃に弾を込めたフランシスコが追いかけるシーンで、ラウルの隣の部屋のオバさんに笑われる被害妄想、グロリアがラウルの車に乗ってるのを見かけ車で追いかけたら別人だったという幻覚、そして教会で皆んなにバカにされているという幻聴幻覚、の撮り口が、フランシスコのイカレ具合を無茶苦茶上手く描いていて、ボク的に良かった

最後、教会の精神病院に入院しているフランシスコを、グロリアとラウル、その息子が訪ねた時に、3人が帰った後フランシスコがポツリと「あの子供は2人の息子か?俺の被害妄想もあながち間違ってはいなかった」と言うのが印象に残った

最後フランシスコが、真っ直ぐでなく、蛇行しながら教会の方へ向かって歩くラストもボク的に印象に残った

全般的に

フランシスコのグロリアへの異常な嫉妬心、人々を見下している態度の描き方が無茶苦茶オモロかった

そしてフランシスコの異常な嫉妬心によるので自業自得だけれど、結局グロリアはラウルと結婚し子供ももうけ、フランシスコの嫉妬が実現してしまうというオチも凄かった

最後フランシスコがイカレてきて、被害妄想の幻聴幻覚が出る撮り口も、精神障害者3級のボクにとっては無茶苦茶リアルに感じられて怖かった

メキシコ時代の「皆殺しの天使」「忘れられた人々」がイマイチで、メキシコ時代のルイス・ブニュエル監督作品は苦手だったが、この「エル」は無茶苦茶オモロく、苦手意識を払拭してくれた作品。やはりルイス・ブニュエル監督はオモロいと改めて感じた