「侍タイムスリッパー」(監督 安田淳一 131分)
話の内容は、幕末の会津藩武士が現代にタイムスリップして、時代劇の斬られ役として活躍する話
最初の幕末の斬り合いで、対峙してる2人が画面手前から奥に走り、雨が降ってきて、雷の音がして、雷の稲光でタイムスリップする撮り口が良かった
町娘役の女の子が上玉だった。助監督の優子殿も宮崎あおいを垢抜けなくしたようなメガネっ娘で、ボクの好みだった
主人公がショートケーキを喜んで食うのがベタだった
テレビに驚き、テレビでやっている時代劇に、主人公がのめり込んで観るというのがベタだった
時代劇の中で坂本龍馬に拳銃で撃たれた主人公が、自分の人生を走馬灯のように回想するのがコミカルだった(死んでないのに死んだと思って回想するのがコミカルだった)
殺陣の劍心会に入会しようとする時に、主人公も殺陣の師匠も論語をそらんじるというのが、深みが出てボクは良かった
劍心会に無事入会できるか?心配するお寺の住職夫婦が、「主人公の前で滑る落ちるは言うなよ」と言っておいて、主人公が帰ってきたら「雨で滑らなかったかい?」と聞き、新聞読んで「内閣支持率が不景気で落ちた」と言うのがベタだった
斬られ役の良さを買われて、セリフのある役、そして主人公の敵役に大抜擢されていくストーリー展開が楽しかった。本物の武士の所作をしているのを絶えず役作りしてると周囲から勘違いされて、主人公が主役の敵役に大抜擢された時に「役作りの努力が報われた。努力していれば誰かが見てくれているんだなぁ」と映画関係者の人が言うセリフも良かった
スター俳優が実は幕末の時の斬り合いの相手というストーリー展開も楽しかった
スター俳優と主人公が一緒に釣りをするシーンを撮る時に、本人達はいがみ合っているけれど、監督は心が通い合う良いシーンが撮れたと満足する演出が上手かった
スター俳優が、成仏してくれよとトドメを刺す殺陣は、確かに相手を倒すだけでなく、相手の遺志を背負う感じがして、ボクも良いと感じた
戊辰戦争での、田舎の会津藩の悲惨な運命を知って、主人公が作り物の時代劇を演じる事に虚しさを感じる演出もボクは良いと感じた。虚しさから、酔って町を歩き、ゲロ吐いて、不良少年達にボコボコにされる、演出・撮り口もボクは良かった
憎い薩長を許す事ができないからではなく、死んでいった会津藩の人達に申し訳が立たないと感じ、主人公が元長州藩武士のスター俳優と真剣で殺陣をするストーリーも楽しかった
最後主人公はスター俳優になった長州藩の武士を殺さず、長州藩の武士が「俺達はこの国を想い己の信ずる道を精一杯生きてきた。それで良いではないか」と言い、それに対して主人公が「今の時代を精一杯に生きねばな」と言い、長州藩の武士が「俺達の幕末の頃の想いも時代劇もいつかは忘れ去られるだろう」と言い、主人公が「しかし今日はその日ではない」と言うセリフのやり取りが良かった(いつの時代でも精一杯生きようというメッセージ性が良かった)
最後真剣で殺陣をした主人公に、助監督の優子殿がビンタする演出もボクは良かった(映画の撮影として危険なだけでなく、主人公に死んで欲しくないという気持ちが見え隠れしているのが良かった)
ラストのもう1人の会津藩武士も現代にタイムスリップしてくるオチも、ナカナカコミカルで良かった
全般的に
デジタルのフラットな画面、無名の俳優達の演技、ベタな演出など気になる所はあるものの、時代劇が好きで、時代劇の衰退に悲しみ、時代劇を作っていた人達だけでなく時代劇の時代の人達の熱い息吹・遺志を伝えていきたい、という作り手達の熱い気持ちをボクは感じて、ボクは好感が持てた
最後の「どんな時代でも精一杯生きよう」という前向きなメッセージ性も良かった
「皆んなの意見は案外正しい」スマッシュヒットしたのも納得の「時代劇LOVE」な作品
