「ドイツ零年」(監督ロベルト・ロッセリーニ 75分)

話の内容は、第二次世界大戦敗戦後の貧しいドイツで、年寄りで病気の父親が「家族のお荷物になるくらいなら死にたい」と言ったのを真に受けて、まだ幼い少年のエドムントが父を毒殺し、自分も飛び降り自殺して死ぬ話

オープニングの瓦礫の街並みのシーンが良かった

労働許可証無く墓掘りの仕事をしていた少年エドムントが、墓掘り仕事の管理者に追い払われる演出が良かった(墓掘りの仕事というのが良かった)

街中で馬(?)をナイフで解体していて、人が集まっているというのが良いアクセントになっていた

画面を横切るトラックが、荷台から落とした石炭を拾うエドムントの撮り口が良かった

姉は夜にダンスホールに出かけ、ダンス相手にタバコをせびって生活の足しにしているという演出が良かった(ダンスホールで楽団が演奏する中、ダンスを踊る客達のシーンも良かった)

路面電車で乗り降りするシーン、路面電車が走るシーンが印象的だった

噴水みたいな所で子供達が遊んでいるシーンが良かった

アパートの大家さんから金に換えてくれと預かったはかりを、デブの金持ちに肉の缶詰2つと交換で巻き上げられる撮り口が良かった。デブの金持ちの車がやって来て、車の中から缶詰2缶をエドムントに渡し、さっさと車に乗って去って行くという撮り口が良かった

昔の学校の先生とエドムントが出会い、胡散臭い仕事を頼まれるというのが良かった

総統官邸で、ヒトラーの演説のレコードをかけるエドムントが良かった

胡散臭い仕事をエドムントと一緒にした青年が、駅で金持ちのオバさんに石鹸を売るように見せかけて、金持ちのオバさんが出した金を奪い取って、走って逃げるという撮り口が良かった

夜中に列車で運ばれて来たジャガイモを強奪するシーンが良かった。夜駅に止まる列車のシーン、強奪したジャガイモを持って人々が駅から逃げて出て行くシーン、警察の車やバイクが駆けつけるシーン、なんかが良かった

朝帰りしたエドムントが、父親からビンタされる演出が印象に残った

年老いた父親が、病院に入院出来て、病院の食事が美味しいと喜んでいるという演出が印象に残った

エドムントが父親の事を元教師に相談したら、「弱い人間は死んで当たり前」とアドバイスされて、その後父親の病院にお見舞いに行ったら、父親から「家族の迷惑になるなら死にたい」と言われて、病院で毒薬を盗み、退院後の自宅の退院祝いの食事の紅茶に毒薬を入れて、父親を毒殺するのがやるせなかった

アパートに警官がやって来たのを、兄が2階の窓から下見て、警官の車とバイクが止まるのを兄目線で俯瞰で撮っていた撮り口が印象に残った

父を殺して自責の念に苛まれているエドムントが、元教師の所に相談に行くが、元教師は教唆犯になる事を恐れて、エドムントを無下に帰す撮り口が良かった(2階で揉み合っていた元教師とエドムントが、エドムントが2階の部屋から出て行き、元教師が2階の窓からエドムントを見ると、窓の下の通りをエドムントが走って去って行くのが見えるという撮り口がとても良かった)

エドムントが、最後あてもなくフラフラと瓦礫の街を歩くシーンが良かった(特にサッカーに入れて貰おうとしたエドムントが断られる演出や教会のオルガンの音楽が聴こえてくる演出が良かった)

最後瓦礫の建物を上がっていって、穴の滑り台みたいな鉄の板で1階下に滑り降りたり、最後唐突に瓦礫の建物から飛び降りて死んでしまうエドムントの撮り口が悲しかった

全般的に

話はとっても暗い話だけれど、チョッとしたシーンも考えて撮られていて、観ていて楽しかった。特に瓦礫の街並みと路面電車のシーンが印象的だった

同じロベルト・ロッセリーニ監督の「無防備都市」はノレなかった記憶があるが、この「ドイツ零年」は、少年が主人公だったからか?、ボクは観やすくてノレた作品