「アタラント号」(監督ジャン・ヴィゴ 101分)

話の内容は、アタラント号の船長が、アタラント号に花嫁を連れてやって来た

最初の教会から出てアタラント号に乗り込む、結婚式の行列行進のシーンが良かった

アタラント号に住み着いているネコ達が可愛かった(ベッドの上にいる赤ちゃんネコや蓄音機の周りに群がるネコ達のショットが特に良かった)

水の中に愛する人の姿が見えると聞いて、船長がアタラント号から小舟に乗り移って、川の中に頭をつけて愛する人の姿を水の中で見ようとする演出・撮り口が良かった。又嫁を陸地に置き去りにしてアタラント号を出航させた船長が、嫁と別れて情緒不安定になり、アタラント号から川へダイブした時に、水中撮影で水中に嫁の姿が現れる演出も良かった

船長が嫁と老水夫の仲を嫉妬して、部屋で暴れて部屋をメチャメチャにする撮り口・演出が良かった

霧の中での、アタラント号の着岸シーンが良かった

船長と嫁が陸地に降りようと思ったら、老水夫達が先に降りてしまい、留守番をしなければならないので、船長と嫁は楽しみにしていた陸地に降りられないという演出が良かった

老水夫が酔っ払って帰って来て、大きな蓄音機のラッパ型スピーカーを持って来て、酔っ払いながら歌うシーンがコミカルだった

大きな衣装トランクを背中に背負って、自転車に乗ってる人のシーンが良かった。自転車で坂を下りて、途中で背負ってるトランクの口が開くというのもオモロかった

船長と嫁が、ダンスバーのようなお店に入った時の、客達のダンスシーン、マジシャンがマジックしながら船長と嫁をテーブルにエスコート、行商人の歌を歌いながらの行商、嫁と行商人のダンス、船長と行商人のケンカ、そして客達がダンスしてる中店の人が行商人を店からツマミ出そうとする演出・撮り口が楽しかった

アタラント号に戻った嫁の所に、いくつかの楽器を持ったり背負ったりしてその楽器を演奏しながらやって来た行商人が、嫁をパリに連れ出そうとするが、船長に見つかって行商人がアタラント号から叩き出される撮り口・演出がコミカルだった

嫁がアタラント号を抜け出してパリに行った時の、色んな人種の人形が沢山並んでいるショーウィンドウが味があって良かった

嫁がアタラント号を追って列車に乗ろうとした時にスリにあうシーン、そのスリが町の人達や警官に追われて捕まえられるシーンがシーン的に良かった

老水夫がレコードを指でこすると音楽が流れるが、パンすると、指をこするのに合わせて若い水夫がアコーディオンを弾いていたのが分かるという、「撮り口の遊び」がコミカルだった

嫁と別れてボーッとしながらチェスみたいな遊びをしている船長に、老水夫が船長がボーッとしているのをいい事にイカサマしたり、最後戦況が不利になると合図を出して若い水夫にチェスのボードをグチャグチャにさせて、勝負をなかった事にする演出がコミカルだった

最後老水夫が船長の嫁を探して町を歩くシーンの、鉄筋の歩道橋を渡り、画面手前に進んで来る、結構長回しの撮り口がシーン的に良かった

嫁が町中に流した、アタラント号の水夫達が歌っていた歌を聴いて、老水夫が船長の嫁を見つける演出が良かった

最後再び会えた船長と嫁が、抱き合ってキスして、シーン変わって川を進むアタラント号を俯瞰で上から撮るシーンで終わるラストもとても良かった

全般的に

ストーリーは無いような内容だったが、撮り口・シーンが、何気ないシーンでも考えられて撮られていて、観ているだけで楽しかった。正に「語る映画」ではなく「観る映画」

昔観た時は、全く良さが分からず居眠りした記憶があったが、今回観直してみて、考えられた撮り口やコミカルな演出が、自分が映画を撮る時に参考になりそうだとボクは感じて、無茶苦茶撮り口の勉強になる作品だとボクは感じた作品