「十字路の夜」(監督ジャン・ルノワール 70分)

話の内容は、容疑者に仕立てあげられたデンマーク人以外全て犯罪者でグルだったという話

オープニングの滑らかな音楽が、雑音で途切れるのはジャン=リュック・ゴダール監督みたいな演出だとボクは感じた

容疑者の尋問の時間の経過と結果を、街の売店の新聞の記事や新聞を買いに来る人のショット(通りの低い位置から撮っていて、お客の足しか映らない)、洗面台のコップに蛇口の水滴の水が溜まるショットで描いていたのが、ボク的に良かった(通りの側溝に捨てられて濡れた新聞を箒で掃き捨てるショットも良かった)

給油所の労働者が、バンドネオン弾いて話し合ってるシーンがボク的に良かった

容疑者のデンマーク人と妹(本当は妻と後で分かる)の家での、メグレ警視の尋問の時の、オルゴールやレコードの曲が良かった

暗闇の中、車から降りて来た被害者のオランダ人の宝石商の妻を、狙撃して射殺する撮り口がボク的に良かった

割れた窓からお隣のオッサンが、毒入りビールを置いて、妹(本当は妻)とメグレ警視を殺そうとする演出がボク的に良かった

人の良さそうだった給油所の労働者達が、犯罪者だったというのが、ボク的にオモロかった

給油所に掛かっているタイヤを、メグレ警視が拳銃で撃って中のコカインを見つけたり、従業員がメグレ警視に襲いかかってくるのをメグレ警視がやっつけたり、給油所の所長のオスカー達が車に乗ってやって来て、給油所にいるメグレ警視を銃撃したりするアクションが良かった

大人しかった妹(本当は妻)が、アバズレの本性を出すギャップが良かった。髪をとかしている妹(本当は妻)の手にメグレ警視が手錠をかける演出、下の階に降りた妹(本当は妻)がふてぶてしくタバコを吸う演出なんかが良かった

暗闇の中の、警察とメグレ警視を銃撃したオスカー達の車との、発砲した銃声が時たま聞こえるカーチェイスシーンが良かった

元夫がメグレ警視を射殺しようとするが、妹(本当は妻)がメグレ警視の前に立って元夫の狙撃を邪魔し、元夫は警察に捕まる演出が良かった

最後妹(本当は妻)が銃撃され怪我を負った兄(本当は夫)のいる2階に、階段で上がるラストもシーン的に良かった

全般的に

一度観て、メグレ警視の説明的なセリフを聞いただけでは種明かしが分からず、もう一度観直してようやく種明かしの内容が分かったが、人の良さそうな給油所の労働者達が犯罪者、大人しそうな妹(本当は妻)が実はアバズレ、隣の夫婦もグルで、殺人の容疑がかかったデンマーク人以外は、全て犯罪者でグルだったというストーリー展開が楽しかった

アクションも、派手さは無いが、暗闇の中での被害者のオランダ人の宝石商の妻の狙撃や暗闇の中銃の発砲音が時々響くカーチェイスシーンは味があって良かった

蓮實重彦が絶賛していたのも納得の、ジャン・ルノワール監督のフィルムノワールの傑作