「素晴らしき放浪者」(監督ジャン・ルノワール 84分)

話の内容は、命を助けて貰った恩人に傍若無人に振る舞う放浪者の話

放浪者が警官に犬を探してくれと頼んだ時は、警官はつっけんどんな態度で放浪者を追い払い、金持ちの夫人が同じ警官に犬を探してと頼んだら、仲間の警官も呼んで必死に探すというコントラストがコミカルだった

母娘の娘から「パンでも買って」と恵んで貰ったお金を、放浪者が高級車に乗ってる金持ちの男に「パンでも買え」と言って恵む演出がボク的に良かった

隣の笛を吹くおっさんの、笛の音色が良かった♪

本屋の親父が望遠鏡を覗いていると、放浪者が川に飛び込む所を目撃するという撮り口がボク的に良かった

望遠鏡を置いて、本屋を出て、川に飛び込み、放浪者を助ける本屋の親父の撮り口が良かった(特に騒然としている野次馬達や、通りかかった大きな船が浮き輪を投げるシーン、ボートに乗せられ岸まで運ばれる放浪者のシーン、が良かった)

命を助けて貰ったのに、傍若無人に振る舞う放浪者がコミカルだった(お礼の一言も言わず、食い散らかし、台所をメチャクチャにする、本屋の妻の寝室を靴墨で汚す、本屋の親父の大切にしていた本にツバを吐く、などが印象に残った)

本屋の親父は優しいので、放浪者に出て行けと言えないので、かわりに妻が放浪者に出て行けと言おうとするが、放浪者と妻がデキてしまい、妻は放浪者に出て行けと言えなくなるのまでやるのがコミカルだった。デキる所は撮らないで、妻の部屋のラッパを鳴らす軍人の絵と外でラッパ鳴らしているパレードの行進のシーンで、放浪者と本屋の妻がデキた事を暗示する撮り口も良かった

本屋の親父と愛人の使用人の女の子、放浪者と本屋の妻の不倫現場がカチ合うという修羅場もボク的にオモロかった

本屋の妻だけでなく愛人の使用人の女の子まで奪って、使用人の女の子と結婚してしまう放浪者の傍若無人ぶりがコミカルだった。結婚式の時の、岸辺のレストランでの楽団演奏シーンの弦楽器の音色♪舟で川を行くシーン、放浪者が花を取ろうとして舟が転覆して、他の人達はナントカ陸地に這い上がるが、浮浪者は川に流されるシーンが良かった

放浪者もナントカ陸地に這い上がり、かかしのボロボロの服と結婚式の正装の服を交換して着替え、再び人からお恵みを貰って暮らす放浪者の生活に戻るラストもボク的に良かった。恵んで貰った食べ物を近づいて来たヤギにあげる撮り口も良かった

全般的に

命を助けて貰った恩人の本屋の親父にお礼も言わず、傍若無人に振る舞う放浪者は、最初コミカルと言うよりは不快だったけれど、命の恩人の本屋の親父の妻を寝取ったり、本屋の親父の愛人の使用人の女の子と結婚して本屋の親父から愛人まで奪うまでする傍若無人ぶりは楽しかった

ネクタイなんか要らないとか死んでラッキーだったとかセリフ的にオモロいセリフがあったのも楽しめた

傍若無人で全然素晴らしくない放浪者の振る舞いが楽しい、ジャン・ルノワール監督のコメディ映画の傑作