「エビータ」(監督アラン・パーカー 135分)

話の内容は、田舎の下層階級の女エバが、大統領夫人まで昇りつめ、活躍する話

エバの大規模な葬儀から、民衆の暴動を軍や警察が鎮圧するアクションに繋げ、最後はアルゼンチンタンゴを踊る人々に繋げるオープニングが凄かった

最初のエバの恋人が、バイオリン弾きながら歌うシーン、エバを連れてブエノスアイレスにやって来るが恋人にはブエノスアイレスに家族がいるという演出が良かった

最初の恋人と、夜の雨に濡れた車道を、エバが歩くシーンが印象に残った

列車で走ってるのと逆方向に馬達が走ってるシーンがシーン的に良かった(監督が気に入ったのか?後でもう一度出てくる)

ポロやフェンシングをしてるシーンが印象に残った

軍のクーデターシーンもコミカルな歌で歌っていたのは、ボク好みではなかった

後に大統領になるペロンと、エバが初めて結ばれるシーンを、外の窓に映った人影が部屋の中に入って行って消え、部屋の電気が消えるのを外から撮る撮り口で描いていたのが良かった。エバが亡くなる時も、外の窓から見える部屋の灯りが消える事で描く「観客に結ばれた所や死んだ所をモロに見せない撮り口」が良かった

上流階級の人達や、政治家や軍人達からエバが嫌われているというのをスタイリッシュに撮っていたのが良かった

ペロンの支持層が労組をはじめとする労働者階級というのが良かった。特にペロンが「精肉場」の労働者達に歓迎されるシーンが印象に残った

ペロンが大統領になった時の、大統領夫人であるエバの、沢山の支持者を前にした歌と力強い演説が良かった。死ぬ間際の力弱い演説とのコントラストも良かった

ペロンとエバのヨーロッパ諸国訪問が良かった(観なおしたらエバ1人のヨーロッパ諸国訪問だった)

女性の政治運動をとりこんで、エバが副大統領を目指すエピソードも良かった

エバが寄付財団を設立し、貧しい人達や労働者階級に施しをするエピソードが良かった。特に貧しい人達と水のかけあいをするシーンと走っているバスからエバ達がお金をバラまいて貧しい人達が群がってくるシーンが良かった

エバの慈善寄付だけでは、失業率が高止まる貧しい庶民は救えず、ストが起きたり新聞が政権批判記事を書いたりするが、大統領のペロンは軍隊を使って力で押さえつけるというのが酷かった

死にそうなエバを抱えて、ペロンが大統領官邸の長い階段を昇るシーンが印象に残った

最後のマドンナとアントニオ・バンデラスのダンスと歌のシーンが印象に残った

全般的に

どこまで本気だったかは分からないが、エバは貧困者や労働者達を救う政治をしたかったのだとボクは感じ、エバに共感が持てた。施しをした労働者達から熱狂的に支持されたというのもボクは良かったと感じた。しかし労働者への施しだけでは経済は良くならず、高失業率の不景気になると、貧困者や労働者がペロンやエバ不支持になっていくというのも考えさせられた

全編歌が溢れるミュージカルというのも、軍のクーデターをコミカルな歌にしていたの以外は、ボクは楽しめた

マドンナはとっても魅力的にエバを演じていてとっても良かった

歌も楽しかったし、政治についても考えさせられたし、暴動やデモシーンは迫力があったし、タンゴを踊るシーンは楽しかった、135分と見応えのある「政治ミュージカル」の傑作