「プリティ・リーグ」(監督ペニー・マーシャル 125分)

話の内容は、野球選手達も戦争で出兵していた戦時中に発足した女子メジャーリーグの話

走っている列車に飛び乗るドティ・キット姉妹のシーンが印象に残った

強打者マーラが、体育館での練習で、体育館の窓ガラスを破って球が外に飛び出す打球を打つというのがシーン的に楽しかった

アル中監督ジミーが、最初はバカにしていた女子野球を見直して、真剣に指導するようになるストーリー展開はあまり上手くなかった

ミスをした選手をジミー監督が怒鳴り散らして泣かせた前フリを、最後の試合で同じミスをした選手にジミー監督が怒りを堪えて的確なアドバイスをして、監督が人として成長した事を描く事によって回収する演出が良かった

選手のガキが、移動バスの運転手の目隠しをして、バスが事故りそうになる演出と、酒かっくらって寝ていたジミー監督が、いなくなった運転手の代わりにバスを運転する(酔っ払い運転)演出がコミカルだった

滞在先を選手達が夜抜け出して、ダンスバーで、楽団の演奏をバックにダンスしている時の、マドンナ演じるメイが男に身体ごと持ち上げられたりするダイナミックなダンスが楽しかった。又マーラが運命の男性ネルソンに向けて酔っ払って舞台に上がって歌を歌っているのもコミカルだった

女子リーグが人気が出てくる感じはあまり上手く描かれていなかったが、ドティが股を開いてファールフライをキャッチするのがライフ誌の表紙を飾ったり、ファールフライを取った人に選手がキスするルールで盛り上がっていくのはオモロかった

字の読めない選手に、おマセなメイがエロ小説を読ませて文字を覚えさせたり、メイが教会の懺悔室で懺悔したら牧師が興奮して聖書を落とし、メイが懺悔室から出て行ったら牧師が興奮した顔を懺悔室からのぞかせる演出がコミカルだった

ドティとキットの姉妹の葛藤をメインにしていたのが、ボクはノレなかった

ドティの旦那ボブが戦地から帰ってきて、ドティが一時は野球を辞めたのに、ワールドシリーズ第7戦最後の試合でドティが選手復帰するストーリー展開も、ボク的には説得力が弱いと感じた

最後相手チームに移籍したキットが、自分流を貫いて好きな高めのコースを打って、姉のキャッチャードティとホームで激突して、ドティを弾き飛ばして逆転サヨナラツーランランニングホームランを打つ事で、自分の力でいつも優位にいた姉のドティについに勝つという演出が印象に残った

最後の野球殿堂入りの式典で、昔のチームメイトに会った時に、話す内容が野球の事ではなく家族の話になるというのが女性ならではだとボクは感じた(こう書くと今時は女性をステレオタイプで差別していると言われそうだけれど)

全般的に

やはり女性なので、野球のプレーに迫力が無いので、スライディングしている短いカットの連続などで迫力を補っていたのが印象に残った

アル中の飲んだくれのジミー監督が、女子の野球のプレーを見直して、まともに指導し始めるのも、最初は人気の無かった女子リーグが盛り上がってくるのも、ボクは演出が弱いと感じた

そして野球だけでは場が持たないので、姉妹の葛藤をメインに描いていたのも、ボクはノレなかった

ボクはやはり「野球は男性のスポーツ」という古い価値観に囚われていて、この作品に対しても否定的な観方をしているが、もっと女性特有のプレーの魅力が描かれていてそれが魅力的に感じられたら、傑作と感じられたのではないか?とボクは感じた作品