「雨あがる」〔監督 小泉堯史 91分)

話の内容は、剣の腕は立つが、生き方が不器用で宮仕えできない男の話

茅葺きの家に雨が降るシーンが良かった

木賃宿に居合わせた貧乏な旅人達にご馳走を振る舞う為に、主人公が賭け試合で勝った金で酒や食い物を買ってくる演出が良かった。その後の飲めや歌えの大騒ぎの大宴会で、三味線演奏で歌ったり踊ったりするのも楽しかった

雨が上がり、山道を歩きながら真剣の素振りをする主人公が良かった

若い武士同士の決闘を止めに入る主人公が良かった。それを見ていた馬上の殿様に気に入られて、城によばれるのも良かった

主人公が江戸に出てくるまでの、道場主とたちあい闘う前に負けを認めて道場主の気分を良くして、酒や食事をご馳走になったり路銀を貰ったりして江戸にたどりつくというエピソードと、江戸の仲代達矢演じる剣の師匠にも負けようと思っていたら仲代達矢の方が先に「参った」と言って負けを認めるエピソード〔主人公に勝とうという気が全くないので仲代達矢はどう闘っていいか?分からず負けを認める)がオモロかった

御前試合で主人公が相手を次々と倒し、町道場の師範が来ないので相手がおらず、殿様自らが本物の槍を持って主人公とたちあうが、主人公が手を抜かず殿様を池に落として殿様を怒らせてしまうという主人公の生き方の不器用さがコミカルだった

御前試合の帰り道、道場主達に待ち伏せされての、主人公と道場主達との殺陣が楽しかった

川の水もひいて、人夫達が旅人達を台に乗せて担いで川を渡る遠景シーンがシーン的に良かった

主人公の妻が、貧乏人達を喜ばす為に賭け試合をした主人公を殿様の使者の前でホメる演出が良かった〔何をしたか?ではなく、何の為にしたか?が大事というセリフも良かった)

ラストの緑の山道を行く主人公夫婦2人のシーンがとても良かった〔山の葉の緑や、緑の中に花が咲いてるシーンや、滝の前で真剣の素振りをする主人公や山の高台から海が見える景色のシーンなんかが良かった。馬に乗った殿様達が主人公を剣術指南役にしようと必死で馬で追いかけてくるシーンも良かった)

全般的に

剣の達人だが柔和で、生き方が不器用で貧乏暮らしをしているという味わい深い主人公を寺尾聰が上手く演じていた。そんな不器用な主人公を理解ししっかり支える妻役の宮崎美子も良かった

貧乏人の方が、お互い支え合って生きていて、人に対する思いやりがあるというのは、貧乏人のボクは貧乏人を美化し過ぎと感じたが、貧乏人達の楽しそうな宴会のシーンは味があった

最初の雨のシーンと最後の晴れて緑の山道を主人公夫婦が歩くシーンの明るさとのコントラストで、観た後味がとても清々しいのも良かった

以前普段映画なんか観ない亡き父親と一緒にこの作品を観た時に、亡き父親が「ナカナカいい映画だったな。観た後の気分がいい」とホメていた、ボクにとっては思い入れのある作品