「恋をしましょう」〔監督ジョージ・キューカー 118分)

話の内容は、億万長者が身分を隠して、好きになった舞台女優にアタックする話

犬がポーカーすると手札の良い時はシッポを振るから、犬はポーカーにむかないというジョークがシャレていた

クレマンがアマンダに初めて会った時のアマンダのダンスシーンで、脱いだ服をクレマンに投げ、共演者にキスしたら共演者の男達が次々倒れる演出がシャレていた

金持ちで女たらしの嫌われ役を本人が演じるというのがシャレていた

金持ち達にウケた犬のジョークを舞台練習で披露したら、劇団関係者全員がオチを知っていて、みんなでオチを言うというのがシャレていた

クレマンが高額な金で買ったギャグを舞台練習で披露したら、ギャグを買った相手の劇作家がちょうど来ていて、「ギャグが盗まれた」と怒り出す演出がシャレていた〔そのギャグ自体はそれ程オモロくなかったけれど)

億万長者の身分を隠し、本物の宝石のブレスレットをたった5ドルでクレマンがアマンダに売るという演出がシャレていた。しかしアマンダは入院中の母親にプレゼントしたいと言った劇団仲間の女性にそのブレスレットを5ドルで買うのを譲るというのもシャレていた。その後の、母親が入院と言うのも嘘で、ブレスレットを放射線が出て体に害のあるブレスレットと言って劇団仲間の女性からクレマンがきっちり回収するのは蛇足だった

クレマンが私のジョークを金持ち仲間が笑うのは、面白いからではなく、私が金を持っているから、広報官が私に尊敬語の「サー」をつけるのも、尊敬しているからではなく、私が金を持っているから、と言うセリフがシャレていた

「有名人は特別」みたいな歌と踊りがシャレていた。恋敵のトニーは主人公でアマンダと一緒に歌い踊る一方、クレマンは登場して鶏の鳴き真似をさせられる情けなさという演出もシャレていた

クレマンの先代から仕える右腕のウェルチが、劇団を買って、経営や舞台の演出にも口を出すのがシャレていた

ミルトン・バールという本人として出演する喜劇役者にコメディのいろはを教わるというのがシャレていた。そのバールが「私より凄いコメディアンはいっぱいいますよ。思い出せないけれど」と言って結局は自分が一番凄いコメディアンである事を控えめに誇示するギャグとレッスンの報酬の金額の桁が多くて社会保険の番号かと思ったと言うギャグもシャレていた。又バールが舞台練習を見に来てクレマンを推して、クレマンの給料をアップさせるのもシャレていた

本物のミュージカル歌手ビング・クロスビーの歌のレッスンで、クレマンがクロスビーの歌をマネるギャグがシャレていた〔ボクはマネとは知らなかったが、クロスビーがそれは私の専売特許だからダメだと歌マネしたクレマンをたしなめるのが良かった)

本物のジーン・ケリーがダンスをクレマンにレクチャーする時に、相手の事を想ってダンスすると良いとアドバイスされ、クレマンが愛情たっぷりにジーン・ケリーと踊っていると、やって来たウェルチさんが2人の愛情たっぷりのダンスを見て、「これは失礼邪魔者は消える」という感じで何も言わずに去っていく演出がシャレていた

トニーとアマンダが回転するベッドで歌い踊るシーンのマリリン・モンローの肩を露わにした衣装がセクシーだった

トニーから主役の座を奪ったクレマンが、アマンダと歌う時にガチガチに緊張して上手く歌えないというのがシャレていた〔女たらしの億万長者のクレマンがアマンダに対しては純情なのがシャレていた)歌の最後のキスシーンで、歌が終わっても熱い接吻を交わすクレマンとアマンダがシャレていた

自分は本物のクレマンだとアマンダに告白したら、アマンダが「役になりきっちゃダメ。昔リンカーンを演じていた役者は周りの人達から射殺されるまでリンカーンのモノマネをしないと満足しないだろうと言われたのよ」とクレマンの事を頭がおかしくなったと心配するのがシャレていた

最後クレマンのビルにやって来たアマンダが、色んな国の色んな女性に色んな言語で指示するのを見てようやく本物のクレマンと分かり、ビルから出て行こうとするがエレベーターで上に戻され、最後はエレベーター内で2人がキスする前フリ回収〔色んな国の色んな女性に色んな言語で指示するのもエレベーターが上に戻るのも最初の方で出てくる)の上手く決まったラストもとても後味が良かった

全般的に

億万長者で女たらしのクレマンを嫌うアマンダに、身分を隠してクレマンがアタックするというのが楽しかった。本人が本人の役を演じる、一流のコメディアン歌手ダンサーからレクチャーを受ける、クレマンが本人だと打ち明けるとアマンダはクレマンが頭がおかしくなったと感じてクレマンを心配するなどの演出もシャレていた

歌も踊りも満載で楽しい♪

イヴ・モンタンもカッコ良かったし、マリリン・モンローもマジメな役だったけれどとてもチャーミングだった

ジョージ・キューカー監督らしいシャレた演出が連続の粋でいなせな恋愛ミュージカルの傑作♪