今回観直した感想

「ヒット・パレード」(監督ハワード・ホークス 113分)

話の内容は、音楽百科事典を作っている世間知らずの教授達の所にアバズレがやってきた

財団創設者の娘が、ポリネシアの求愛ダンスにノッて、文句言うのも忘れてノッたまま帰っていくのがコミカルだった

音楽はどれも凄かったが、その中でも今回は鉄琴の演奏が無茶苦茶カッコ良く感じた

最後ダニー・ケイがギャングのボスをやっつけるのは、「教授と美女」のボクシングの本を読んで勉強してもダメだが、本を捨てて殴りかかったら倒せたという演出の方がオモロかった(音楽ばかりしていたダニー・ケイがギャングのボスを殴り合いで普通に倒すというのは、少し無理があるように感じられた)

全般的に

ヴァージニア・メイヨがボク好みでなく、どうしても恋愛コメディ部分は「教授と美女」に負けるが、その分音楽が無茶苦茶楽しいので、映画的な楽しさは「教授と美女」に引けを取らないとボクは感じた。又基本線のアバズレがコミカルな程純粋無垢な教授達に感化されて、金持ちのギャングのボスより、年収3200ドルの誠実な教授の1人を好きになっていくというストーリーはテッパンだなぁと改めてボクは思った

何回観ても、セルフリメイクでも楽しめるハワード・ホークス監督の傑作スクリューボール・コメディ


以前観た時の感想

「ヒット・パレード」(監督:ハワード・ホークス 113分)
話の内容は世間知らずの音楽教授が音楽百科辞典を完成させる為に当時のジャズなどの現代音楽を研究する話。
ポリネシアの求愛の歌が面白かった(「エンドゥアー・トンディエー」と歌いだし、「ウッハッ」と掛け声を出すコミカルな歌をマジメに説明するというコミカルさ)
窓拭きの黒人二人が音楽クイズの答えを聞きに研究所に入ってくる演出が面白かった(その内の一人がピアノでブギウギを演奏したり、もう一人がビーバップを歌いだしたりして、それを聴いたダニー・ケイが現代音楽の研究をするようになる。最初はゆっくりとしたクラッシック音楽で途中から黒人達の速い演奏になる所が良かった。)。
クラブやダンスホールや酒場でルイ・アームストロングなどの演奏を調査するシーンが面白かった(タバコを吸ってそのタバコを指に挟みながらピアノを演奏する白人やピアノ演奏1人と黒人4人の歌手で歌を歌うグループやルイ・アームストロングが演奏していた黒人がいっぱいいる酒場の雰囲気などがいい雰囲気だった。*「昔観た記憶の中では、マッチ棒を足の代わりにみたてて、マッチブギウギをマッチ棒で踊らせる演出があったような気がしたが、今回見たときにはなかった」(「教授と美女」と勘違いしている))
タクシーでギャング二人が、ネズミのでる倉庫や叔父の葬儀屋の死体安置所で寝泊りする事をヴァージニア・メイヨに勧めるセリフのやりとりが面白かった。
濡れた足先を触らせたり、口を開けて口の中をのぞかせたりして風邪をひいてるという口実でヴァージニア・メイヨが研究所に泊めてもらおうとする演出が良かった(ちょっと色仕掛けが入っている感じが良かった)。
朝エプロン姿で現れ、後ろに布が無く下着が見えているヴァージニア・メイヨの背中をダニー・ケイがカバンで隠す演出が面白かった。
クラリネットの教授(この人がベニー・グッドマンだとは知らなかった。道理で演奏が上手かったわけだ)がミュージシャン達の演奏に参加して即興で演奏していくシーン・演出が良かった。
ミュージシャン達が集まって研究室で「ジャズの歴史」という曲を録音するシーンがオシャレだった(ミュージシャン一人一人に見せ場がきちんとある)
競馬新聞の記事の内容を歌詞にして音楽教授たちが即興で歌を歌い演奏(ジャムセッション)する演出がコミカルでオシャレだった。
「ヤムヤム」を教えると言って分厚い本に乗ってヴァージニア・メイヨが背の高いダニー・ケイにキスする演出が良かった(ヴァージニア・メイヨを研究所から追い出そうとしているダニー・ケイがこの色仕掛けで追い出すのをやめてしまう。「ヤムヤム」の前に窓からさす光でヴァージニア・メイヨの金髪が輝くという色仕掛けも良かった)
ダニー・ケイが、恋をして上の空になって、コーヒーに塩を入れ、ケーキにマスタードを塗り、ミルクポッドにコーヒーを入れそれに色々入れた飲み物をピクルスでかき混ぜる演出が面白かった。
ギャングがくれたデカイダイヤの指輪の上にダニー・ケイがプレゼントした小さなダイヤの指輪をはめる演出が面白かった。
ギャングが父親として電話してきたら、ダニー・ケイが「結婚は親の承認を得ないとダメだ」というアドバイスを聞いて、父親を騙っているギャングにマジメに挨拶する演出が面白かった(自分の年収(3200ドル・賄い付き)まで話してしまう演出が面白かった)
ホテルの部屋番号が9から6になり、ダニー・ケイが部屋を間違えてヴァージニア・メイヨの部屋で結婚への不安を吐露する演出がオシャレだった。
ヴァージニア・メイヨに騙されたと知っても、警察たちに「もうヴァージニア・メイヨは出て行った」と伝えてヴァージニア・メイヨを助けるダニー・ケイが良かった。
最後ギャング達が研究室に乗り込んだ時、教授達だけでなくミュージシャン達も一緒になって大きな音で演奏をして、壁に置いてある置物を振動で落とす演出が面白かった(拳銃を奪い取った後、トッテン財団の創設者の娘が、カバンでギャングの頭を叩いてトドメをさす演出が面白かった(これも今回観直したらなかったので「教授と美女」と勘違いしているみたい))。
牧師がヨボヨボの老人で目が悪く耳も聴こえず補聴器をつけていて、ギャングとヴァージニア・メイヨの結婚式が、話を聴き返したりして遅々として進まない演出が上手いし面白いと思った(結婚を引き延ばし、教授達が結婚を止めさせに乗り込んでくる上手い時間稼ぎになっている)。
教授達がギャングの結婚式に乗り込んで来た時、拳銃を渡してダニー・ケイとギャングが一騎打ちの殴り合いをする演出が良かった。
ラストにキスシーンで終わる演出もとても後味が良かった。
全般的に
全編にカッコイイ演奏がいっぱいでとても面白い。
演出もオシャレでコミカルな演出が多くとても面白い(特に世間知らずの教授達が大真面目にコミカルな研究をする演出が良い)。
主人公の男女二人・他の6人の教授達・家政婦のオバサン・黒人の窓拭き二人・ミュージシャン達・弁護士と財団の創設者の娘・ギャング達など俳優陣もとても良い。
カッコイイ音楽とコミカルでシャレた演出が満載のとても面白い作品。

「ルイ・アームストロングの底抜けに明るい笑顔が良かった」心にそう願う長七郎であった。