「果てなき船路」(監督ジョン・フォード 105分)

話の内容は、命がけの酷い仕事だがそれ以外に行く所は無く、再び船に戻って働く船乗り達の話

船上での南国の娘達とのダンス(船員によるアコーディオンとフルートの演奏も良かった)とその後の酒が入ってのケンカシーンが良かった(特に殴られて倒れた所に女がいて、その女に倒れた男がキスして再びケンカに加わる演出が印象に残った)

嵐で船が大揺れ、甲板にも水がガンガン入ってくるシーンがシーン的に凄かった(嵐の中運んでいる爆薬が濡れないようビニールシートを船員達がかけたり、嵐の中で作業して甲板に打ち上がる波に叩きつけられ倒れ重傷を負う船乗りの演出なんかも凄かった)

暗く狭い船乗り用の船室で、甲板で波に叩きつけられ病気になった船乗りが死んでいく演出が悲しかった(船員皆んなでお悔やみした後、遺体を海へ流す演出も悲しかった)

スミティをドイツのスパイと勘違いして、スミティを縛り、スミティが大事にしていた箱を取り上げ、中が手紙だったのでドイツ軍の暗号文だと騒いだら、酒癖の悪さで会いたくても会えないスミティの奥さんからの手紙だったというのが悲しかった(その後警備の巡回で甲板に出たスミティに、事情を知らないオリーが「そっちは異常ないか?」と声をかけ、スパイに間違われ酷い事されたスミティが「あぁ問題ない」と返答する演出が悲しかった)

オリー達が甲板で寝そべってノンビリしてる所に敵機がやって来て、爆弾を落としたり機関銃を掃射して、TNT火薬を積んだ船員達の船を攻撃する演出撮り口が良かった(ノンビリしていた時と攻撃で船内が騒然となる時とのコントラスト、敵機は映さず飛行音や爆撃で水柱があがったり甲板に機関銃の弾痕がついたりという撮り口で敵機の攻撃を撮る撮り口、スミティが機関銃で撃たれて死に、港に着いたら喪服の奥さんと小さな子供2人が来ていて、奥さんは車に乗る前に泣き崩れる演出の悲しさなんかが良かった)

陸にあがって「オリーを田舎に行く船に乗せるまでは酒は飲まない」と固く誓っていた仲間の船員達が、結局ガマンできず、悪徳酒場で酒を飲んでしまう演出がやりきれなかった(悪徳酒場での船乗り達のアイルランド民謡の合唱、フルート演奏も女達もいるダンス、女を抱きかかえながら椅子に座って椅子が壊れる演出、フルート奏者に蓄音機のラッパを頭から被せる演出、ドリスコルがバーテンダーを殴ってバーテンダーがカウンターに沿ってクルクル回転しながらぶっ倒れる演出なんかが良かった)

酒に薬を入れてグッタリしたオリーが奴隷船に連れていかれるのを、仲間の船乗り達が奪還する奴隷船での乱闘シーンが良かった(奴隷船の船上での殴り合いのシーン、最後にドリスコルが奴隷船の船員の投げた武器にあたって倒れ奴隷船は出航してドリスコルを連れて行ってしまう演出なんかが良かった)

最後、火薬を運び、敵機からも攻撃を受け、「二度と船には乗らない」と言っていた船員達が、奴隷船に連れていかれたドリスコル(その奴隷船は船乗りの1人が読んでいた新聞記事でドイツ軍に撃沈された事が分かる)と田舎に帰ったオリー以外は、他に行き場が無くて船に乗り込むというラストもやりきれなかった(チビでヒゲの船乗りは、憲兵2人に連行されて船に戻ってくるというのはコミカルだった)

全般的に

命がけの船乗りの仕事、飲まなきゃやってられず、ついつい飲み過ぎてハメをはずしトラブルを起こす、船乗り達のやるせなさがとても上手く描かれていた

昔映画館で観た時は、オリーが悪徳酒場で金も田舎に帰る船のチケットも盗られ、オリーも再び船に乗り込んで船乗りの仕事を続けるオチと勘違いしていたが、勘違いしたオチの方が「他に行き場のない船乗り達のやるせなさ」は強く出て、ボク的には良かったんじゃないか?と感じた

シーン的にもダンスシーン、ケンカシーンはとても良く、最後船乗り達が船に戻ってくる時の港につながれた船と波止場には紙クズが舞っているシーン(セットだけど)なんかもいい雰囲気だった

昔映画館で観た時も「飲まなきゃやってられない船乗り達のやるせなさ」が見事で傑作と感じたが、今回観直してみてもやはり傑作と感じた「船乗り達のやるせなさ」がビンビン伝わる作品