「白い花びら」(監督アキ・カウリスマキ 78分)

話の内容は、幸せに暮らしていたキャベツ農家の主婦が、街から来た男に唆されて、夫と別れて街へ出るが、街から来た男に騙され、娼館に売られる話

田舎を走るサイドカー付きバイクが良かった

キャベツを売り、売った金でアコーディオン演奏のある店でお酒を飲んだり食事したりする感じが幸せそうだった。

寝ている夫の横に寝て、夫の腕を持ってきて自分を抱かせるようにして寝るというのが幸せそうだった

田舎を走るオープンスポーツカーが良かった

街から来た男に唆されて、畑仕事が嫌になり、ファッション雑誌読みながら化粧したり、食事もレンジで温めるだけの手抜きになったり、夫が怒って妻が咥えていたタバコまで捨てたら妻はベッドから夫の布団を持ってきてソファーに置き寝る所を別にするなど夫への愛情がどんどん冷めていくのが上手く撮られていた

楽団の演奏のあるバーで、街から来た男と妻が演奏に合わせて踊り、夫は酔いつぶれるというのが良かった

周りに木や草が茂った奥に川が見えるショットが良かった。街から来た男と妻が結ばれた事を、川に流されていく白い花びらで暗示していたのが良かった。

街に繰り出した時の夜の街のドライブのシーン(走ってる車のフロントガラス越しに見える夜の街を撮る撮り口)が良かった

娼館で娼婦達が賭けトランプしてるのが良かった

娼館の女将が街から来た男の姉と見え見えの嘘の自己紹介をしたのに、世間知らずの妻は「お姉さんに会えて嬉しい」と律儀に挨拶するのがコミカルだった

妻に逃げられて後ろ指を指してた村人の1人を夫が投げ飛ばすのが良かった

妻が娼館から逃げ出して列車に乗ろうとしたら倒れてしまい、病院に運ばれたら妊娠が発覚するのがやり切れなかった

最後夫が娼館で暴れ、街から来た男に拳銃で撃たれながらも家で研いできた斧で街から来た男を殺し(殺す所は映さず、街から来た男が逃げ込んだ倉庫に夫が入っていってドアを閉め、ドアから血のベッタリついた斧を持って出てくる事で街から来た男を殺した事を暗示する撮り口が良かった)、妻と生まれてきた赤ちゃんをタクシーに乗せ娼館から逃すが、夫は夢の島(ゴミの埋立地・集積所)で倒れて死ぬというオチは、切なかった

全般的に

幸せだった農家の妻が、街の華やかさに魅せられて変わっていき、街から来た男に騙されて不幸になる感じは上手く撮られていた

小津作品のような風に揺れる麦畑のシーンや木や草の茂みが周りに見える川のシーンなどシーン的にいいシーンもいくつかあった

オチも不幸で救いがないけれど、撮り口が上手いので、サイレントの割には最後まで飽きずに楽しく観れた作品