「42〜世界を変えた男〜」(監督ブライアン・ヘルゲランド 128分)

話しの内容はメジャーリーグ初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンの活躍

「法を犯せば時には賞賛されるが、慣習を破れば社会から排斥される」というセリフが印象に残った

オーナーのリッキーがジャッキーに「ホテルに泊まっても部屋は勿論炭置き小屋(黒人が炭のように黒い肌なのを蔑んでいる)にも空きがないと言われて、宿泊を断わられる」と話すのが痛烈だった

ジャッキーが「やり返す勇気のない選手になれと言うのか?」と言うと、リッキーが「やり返さない勇気のある選手になってくれ」と言うセリフのやり取りが良かった

ハリソン・フォードが太ったオーナーのリッキーを演じていたのに驚いた。太る役作りに驚いた

ジャッキーの奥さんが白人専用トイレに黒人なのに入った為に飛行機の搭乗を拒否され、長距離バスでキャンプインというのが酷かった

3Aのロイヤルズでの最初の試合対ドジャース戦で、フォアボールで出塁して盗塁を決め、3盗を狙うが2・3塁の間で挟まれるが3塁をおとし入れ、最後はボークで初得点するという演出が良かった(エド少年が一緒に球場に観戦しに来た母にプレーを解説するのも良かった)

試合中に、球場警護の警官が、プレーしているジャッキーを逮捕しようとするのが酷かった

街灯修理の白人労働者が「能力のある奴にはチャンスは公平にすべきだ」とジャッキーを応援するのが良かった

ジャッキー番の黒人記者も、黒人を理由に記者席に入れず、3塁側観客席でタイプを打たねばならないというのが酷かった

ジャッキーが列車で出発する時、エド少年にボールを投げ、子供達が列車を走って追いかけるシーンが良かった。列車が去った後にエド少年が、レールに耳を当て、レールの響きを聴きながら「まだいる」と言う演出がナンカ良かった

3A開幕戦でのホームランが印象に残った 

「何を信じるかではなく何をやるかが重要」というジャッキーのセリフが印象に残った

ドジャース監督が「勝つ為なら象もチームに入れるし、役立たないなら弟でも首を切る」というセリフが良かった(その監督は開幕前に不倫で辞任してしまう)

メジャーリーグに昇格するが、ドジャースのチームメイト達がジャッキーと一緒にプレーするのを拒否する署名を集めると言うのが酷かった

1947年のエビッツフィールドの開幕戦の雰囲気が良かった(フィールドに出る通路からジャッキーが出てくると、観客は立ち上がり、フィールドに出ると記者達が取り囲む撮り口。歌手の国家斉唱。アナウンサーの実況中継。観客の拍手とブーイングが入り交じる。なんかが良かった)。

開幕戦初打席、サードゴロで明らかにセーフだが、白人の審判はアウトをコールするというのが酷かった。

ジャイアンツ戦でホームランかっ飛ばすシーンが良かった(ローアングルからバッター越しに打球の飛んだレフトスタンドを映すという撮り口)

フィリーズの監督がジャッキーに黒人を侮辱する汚いヤジを飛ばし、ビーンボールも指示するのが酷かった(ジャッキーのチームメイトの一部からもビーンボールを支持する発言が出るのも酷かった)

フィリーズ監督の汚いヤジにジャッキーは怒り爆発で、通路の壁をバットでガンガン叩きバットが折れる。リッキーがアボット&コステロのギャグでジャッキーを慰める。再び試合に戻ったジャッキーがヒットを打ち盗塁。送球逸れる間にサードまで行き、ヒットで得点しドジャースが勝つ演出なんかが良かった

フィリーズがホームでジャッキーが試合に出るなら試合を拒否すると脅してくるのも酷かった

フィリーズの監督がジャッキーと和解する時に、ジャッキーは自己保身の為だと和解に乗り気ではなかったが、リッキーは「見かけだけ変わったように見えればいい」とアドバイスするのが良かった。

ピッツバーグで、ジャッキーの頭部デッドボールで両チーム乱闘になるのが酷かった

ジャッキーのチームメイトピーウィーがジャッキーと一緒にプレーするのを嫌う故郷の人達から脅迫状が送られてきたとオーナーに訴えたら、オーナーのリッキーはジャッキーに来た脅迫状の分厚いファイルを見せて、ジャッキーはもっと酷いと諭し、ピーウィーが改心するのが良かった

カージナルス戦で球場に来た親子連れのドジャースファンでさえ、ジャッキーに汚いブーイングを浴びせ、親の影響で小さな子供までジャッキーに汚いブーイングをするのが悲しかった。しかしファンのピーウィーがジャッキーと肩を組んで「仲良し」をアピールすると子供がブーイングを反省する演出が良かった。

チームメイトを不快にさせない為に、ジャッキーが最後にシャワーを浴びるようにしていたのが悲しかった。一緒にシャワーを浴びようというチームメイトもいれば、ジャッキーが来たらシャワーを浴びるのをやめるチームメイトもいて、ドジャース内でも人種差別が複雑なのがボク的には良かった。

首位攻防のカージナルス戦で完全にアウトなのにわざと1塁のジャッキーの足を踏んで怪我させるのが酷かった。ジャッキーが大事な試合だから報復のデッドボールはやめてくれと言うのが良かった

リッキーがなぜメジャーリーグに黒人を入れようとしたのか?をジャッキーがリッキーに聞くと「戦争でナチスに勝ったから今度は国内の人種差別主義者達と戦おうと思って」とジョークを言った後、昔の黒人のチームメイトが才能があったが黒人である為に落ちぶれてしまった為、今度は黒人のメジャーリーグでの活躍を成功させようとしたと本当の理由を言ったが、ちょっと理由が弱いとボクは思った

優勝が決まるピッツバーグ戦で、頭部に死球を受けたピッチャーからジャッキーがホームランを打って勝ち優勝を決めるのが良かった(ブルックリンの黒人街の黒人達は喜び、最後はジャッキーがゆっくりダイヤモンドを1周するのも良かった)

全般的に

黒人差別の酷さは伝わってきた。しかしそれに対する主人公のタフさはあまり上手く描かれてなかったとボクは思った。

黒人差別の描き方は、改心する人もいれば、変わらない人達もいる、と複雑に描かれていたのは良かった。だからこそ変わらない人達が見かけだけでも改心するというのは、黒人差別を解消するのに効果があるとボクも思った

いいセリフも多かったが、セリフが多いので、英語が出来ないボクは一度目は字幕をおえなかった

野球のシーンはエビッツフィールドの再現やレトロな野球のプレーの再現なんかは味があったし、ジャッキー・ロビンソンの走塁やホームランシーンもソコソコは良かった

黒人差別の酷さは勉強になるし、野球シーンもいい雰囲気があるが、娯楽要素が少なく、マジメな映画だなぁと思った作品