「ミステリー・トレイン」(監督ジム・ジャームッシュ 112分)
「ファー・フロム・ヨコハマ」
列車でメンフィスにやってくるシーン(緑の山あいを走る列車。カセットテープを入れるとかかるエルビスの「ミステリー・トレイン」。列車の窓から見える廃車の山。奥に立体交差している道路で列車が横切ると手前の草が揺れるなど)が良かった
前後に棒を持ってトランクケースを運びながらメンフィスの町を歩くシーン(廃館になった映画館。床屋でブシェーミが釣竿持ってる。手前にレストランのネオン、奥に薄っすら浮かび上がるオンボロホテルなど)が良かった
工藤夕貴と永瀬正敏のイチャイチャ(エルビス銅像前でダバコの煙を口移し。工藤夕貴が変顔して永瀬正敏を笑わそうとする。口紅を濃く塗ってキスしオバQ唇にする。工藤夕貴が足でライターを持ってダバコに火をつける。セックスした後に永瀬正敏が「女はセックスする時髪型気にするのか?」と聞いたら工藤夕貴が「気にしないわよ。それより髭剃って痛いから」と返して口論になる等)が良かった。
3話が交錯する演出(ブシェーミの登場。ホテルの窓から列車が横切るのが見える。トム・ウェイツDJのラジオ放送。朝部屋を出て行く時に聞こえる銃声)が良かった
その他の演出(メンフィス駅で黒人の老人にダバコの火を貸す(黒人の老人は日本語で「ありがとう」と言う)。エルビス銅像前で永瀬正敏がライターを投げジャケットの内ポケットに入れる。大きなトランクケースには謎のTシャツ100枚が入っている)が良かった
「ア・ゴースト」
頼まれるとなかなか断れないニコレッタ・ブラスキ演出(新聞や雑誌をいっぱい買わされる(その雑誌を何回か落とす演出も良かった)。レストランでの幽霊話(エルビスの「櫛」を渡されるのがコミカルだった)に付き合う。オンボロホテルで相部屋になるなど)が良かった
3話が交錯する演出(ニコレッタブラスキが町を歩いていたらウィル・ロビンソンが真っ赤な軽トラにオイルを入れている。ブシェーミの妹と相部屋しそのお喋りで恋人のジョー・ストラマーの事が分かる。部屋の外から工藤夕貴の喘ぎ声が聞こえてくる。トム・ウェイツDJの「ブルー・ムーン」の曲の時にエルビスの幽霊が登場。出て行く時に銃声が聞こえる)が良かった
「ロスト・イン・スペース」
ジョー・ストラマーがジュークボックスで曲をかけたり、グラスを投げて割ったり、荒れてる感じが良かった。
酒店で店主をピストルで撃ち、店から持ってきた酒を運転手も含め3人で回し飲みしながら車で逃走する演出が良かった(カーラジオからトム・ウェイツのDJが流れるのも良かった)
ジョー・ストラマーが「黒人街の黒人が働くホテルなんだからエルビスの肖像画ではなくオーティス・レディングかキング牧師の肖像画を飾れ」と文句を言うとウィル・ロビンソンが「オーナーは白人なんだ。今度はマルコムXの肖像画を飾るホテルにお前を招待するよ」と切り返すセリフのやり取りがとても良かった
ブシェーミが「義理の兄貴でもないのに撃ちやがった」と言ってジョー・ストラマーに足を撃たれる撮り口演出がコミカルだった(様子を見にきたサンキ・リーがドアを開けるショット、切り返して3人がもみ合いながらもサンキ・リーの方を見るショット、切り返して部屋の斜め高い所から3人の後ろ姿とサンキ・リーがドアを閉めて去っていくのを撮るショットという撮り口)
足を引きずってるブシェーミを軽トラの荷台に投げ込んで、横に走る列車と一緒に軽トラも走って逃げていくシーンが良かった
ホテルフロントの凸凹コンビのギャグ演出
サンキ・リーが工藤夕貴から貰ったプラムをスクリーミン・ジェイ・ホーキンスが食べちゃうのがコミカルだった
サンキ・リーが唐突にグラサンかけてもスクリーミン・ジェイ・ホーキンスは無視というのがコミカルだった
ハエの置物をハエ叩きで叩くのがコミカルだった
スクリーミン・ジェイ・ホーキンスが自分の言った例えに自分で笑うのがコミカルだった
サンキ・リーが制服に文句言ったら、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスが「自分で制服を買え。「身なりが人格を作る」」とアドバイスするのが良かった。
全般的に
観直してみて、メンフィスを旅しているような気分が味わえた。3話の交錯具合も絶妙。以前は「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「ダウン・バイ・ロー」に比べると劣る佳作と評価していたが、「ミステリー・トレイン」は「ミステリー・トレイン」なりに面白く「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「ダウン・バイ・ロー」に「劣る」とは思わないジャームッシュ の傑作と言える作品