「秋日和」(監督:小津安二郎 128分)
話の内容は母と娘の母娘愛。
木々の間から見える東京タワーのショットや薄暗がりの中の鉄橋のショットなどが良かった。
ダメ親父三人が「美人だと夫は早死する」という話をしながら、ブスの仲居に「夫は長生きするよ」と言ってからかう演出がコミカルだった。
「薬」と「りんご」の話がちょっと面白かった(ダメ親父二人の奥さん同士が情報交換する中で、二人の内どっちのダメ親父がやった事なのか分からなくなるという演出)。
ちょっとしたビルのショット・ビルの屋上から道路に車がいっぱい並んでいるショットなどが良かった。
看板のショットがボク的にはかなり良かった(奥に「COFFEE」など横文字の看板二つで手前に「う」の字の看板(鰻屋の看板)のショットと手前に「若松」という看板と「酒」の赤ちょうちんで奥に「VAN」のブルーネオンのショット。和と洋のコントラストがよく出ていた)。
鯉にバタピー食わして翌日鯉が白い腹を見せて死んで浮かんでいるという母娘の思い出話が面白かった。
ハイキングの場所での「街灯」がオサレだった。
女が麻雀で男相手に勝って喜んでいるというシチュエーションが良かった。
ボクの憧れの「自社ビルの屋上での男女混合円陣バレー」をやっているのが良かった。
ゆであずきを母娘で食べた店の窓からのショットが良かった(背後の緑の山の手前の海をボートが横切るショット)。
最後の原節子の「一人になって寂しい」ような「娘が結婚して幸せになって嬉しい」ような表情が良かった。
全般的に
後期の作品なので、やっぱり初期の頃に比べるとスタイリッシュさ・厳格さ・構図バッチリ感に欠ける所がある。
メインの社会的地位は高いけれどダメ親父三人は、下品だし、コミカルという程には面白くないし、あまり魅力的ではなかった。それとのコントラストでチョイ役の笠智衆はとても上品で魅力的だった。原節子と司葉子の母娘愛はソコソコ描けていたと思う。佐田啓二は二枚目で、岡田茉莉子はバタ臭かった。
ビミョーなコミカル感はあるし、ソコソコの母娘愛も描かれているし、それなりには楽しめるが、ショットの厳格性に欠けているし、キャストもメインのダメ親父三人がミリキ的でないので、ボク的には小津の作品としてはそんなに面白いとは思えなかった作品。

「一流企業の自社ビルでOLさん達と楽しげに円陣バレーがしたかった・・・・。「もう届かない」贈る言葉。」心にそう願うブルーカラー長七郎であった。ホワイトカラーなんて・・・・。羨ましい・・・・。ドラえもん何とかしてぇ~!!