「サイボーグ009 超銀河伝説」(監督:明比正行。製作総指揮:石ノ森章太郎)
話の内容は、ビックバンの爆発エネルギーを支配して全宇宙征服を企むゾアとそれを阻止するサイボーグ戦士達の活躍。
ビッグバンの説明から始まるオープニングが良かった。
日蝕の映像が良かった。
戦いに行く前の002(ジェット)と004(ハインリッヒ)の暗い過去話合戦が良かった。
戦いに行く前の009(ジョー)の003(フランソワ)への夕日の中での告白が良かった(抱き合う二人に海のカモメも飛んでいるという演出もグッド!!)。
終始貫かれている「本当は戦いたくないが、仕方なく戦う」というスタンスが良かった。
サイボーグ戦士全員にきちんと自分の能力を発揮する見せ場があるのが良かった。
宇宙の抜け道に機雷が置かれていて、その中を慎重に進む演出が良かった(ちょっとリアル感・緊迫感があった)。
宇宙の抜け道を出た後の宇宙船戦闘機との対決が良かった。
エンジントラブルで立ち寄った星での一つ目の巨人(ロボ。敵でもむやみに人は殺さないという配慮)との対決が良かった(008(ピューマ)がロボ内部に入って爆弾を仕掛け爆破したり、006(チャンチャンコ)が火を吹いて巨大ロボの足を溶かしたり。ペンダントに人質の女王がいて胸にぶら下がっているというのもいいアクセントになっていた)。
助けられた女王が009に告白して抱きつくのを、003の声が聞こえてきて、止める演出が良かった。
敵の宇宙船・戦闘機が襲撃してきて、女王その他星の人達を皆殺しにするというのが、「敵の残虐さ」を強める効果が出ていて良かった。
敵もさるもの演出が良かった(長年監視をやっていた兵士が異常に気づく(上官がバカで、「あれは中立性のパルスだ」と009達の計略にまんまとハマる)とかゾアが超能力で009達の接近に気づき厳戒態勢をとるとか第一師団長がムチャクチャしぶといとか)
要塞に残って、自爆して要塞や宇宙船・戦闘機全てを破壊した004がムチャクチャカッコ良く004の中に「男」をみた(子供の頃観た時にも004ハインリッヒのカッコ良さは強く印象に残っていた)。
最後のオチはやはりアクション映画なのできちんとゾア(サイボーグでここでも敵でもむやみに人は殺してはいけないという配慮がある)との対決をして欲しかったが、「人智の及ばない事が宇宙にある」というオチ(ゾアはそれが分からず神のエネルギーを吸いすぎて自滅する)・神の力でボロボロの宇宙船は地球に戻ってこれたし、死んだはず
のハインリッヒが人間として生き返るなどご都合主義を正当化する手段としても、今回の「神の力」のオチはボク的にはアリだと思った。
仕事を終えて夕日の海に浮かぶ009達の宇宙船の絵が良かった。
人間として生き返ったハインリッヒが、又009達仲間と一緒に働きたいから、嫌だったサイボーグになる手術を又受けるという演出が良かった。
最後に夕日の中、ジョーがフランソワに告白(「ボクはモナコGP君はパリの舞台があるからそこで会おう」という)して、最後二人が抱き合うラストもとても良かった。
全般的に
「戦いたくないけれど仕方なく戦う」という姿勢や「敵でもむやみに殺してはいけない」という配慮が良かった。
009達全員に能力を活かした見せ場があるのが良かった。アクションも満載なのも良かった(最後のゾアとの対決が無かったのは肩透かしだったけれど・・・)。
友情・恋愛など人間ドラマもきちんとしているのが良かった。
声優陣もいい。009達サイボーグ戦士達の声は懐かしかったし、ギルモア博士の声を八奈見乗児がやっているとは思わなかった。そしてあの永井一郎(波平)がなんといつも間違えた事を言ってしまう科学者という扱い。名声優の使い方が贅沢すぎると観ていてボクは思った。
森田公一の音楽も古いと思う人はいるかもしれないが、ボク的にはとても良かった。
アクションは昔のアニメで、ボクは懐かしかったけれど、今時の子供が観るとチャちく見えるかもしれないが、ハインリッヒの生き様・自分の能力を最大限活かしながら仲間と協力して敵を倒す姿勢などは、今の子供達(特に男の子)でも充分その良さが分かるのではないかとボクには思えた作品。

「最暴具浩一(さいぼうぐこういち。ボクサーのリングネーム)はどうしているだろう?やっぱりもう動かないのかな・・・。」心にそう願う吹きすさぶ風がよく似合う長七郎であった。