もう一つの物語り【愛染】297 | シンイLove♥魅惑の高麗ライフ

シンイLove♥魅惑の高麗ライフ

あくまでも管理人の妄想の世界です。
ご了承の上お読みくださいませ。

 
 
 
 
「正直に話して下さい」
 
ミンスに懇願するヘジン
ミンスは首を横に振るだけで、無言のままだったが
そんなミンスにウォノンは言った
 
「父さん…私が話します…」
 
だがミンスは力なく首を振りながら
 
「だがそれではチェ・ヨン君との約束を違える事になる」
 
「そうですね…ですが…兄上には後程私が話します
今はジノの気持ちを優先しましょう」
 
ウォノンはそう言うと、何やらメモにさらさら書いた
ジノとヘジンはそのメモを目を丸くして見ている
 
「全部…漢字?見たことない字も…」
 
ヘジンは改めてウォノンをまじまじと見る
 
「へぇ~やっぱりね、そうなのね…」
 
そんなヘジンに微笑みを向けるウォノン
すると何故か突然に目をそらすヘジン
ウォノンはばあやを呼ぶとメモを渡した
 
「叔父上には昼のお誘いは遠慮させていただくと伝えて…
でこの書き付けは兄上に渡して、兄上が叔父上を
お迎えにあがると聞いている」
 
ばあやは黙ってメモを受け取ると
 
「確かにお届け致します」
 
そう言ってリビングを出て行った
 
「ウォノン、何と書いたのだ」
 
ミンスが訊くと
 
「私自身の事をジノ君とヘジンさんに話すと書きました
ジノ君は兄上に付いて行きたい…そう思ってるはず
私の事を聞いてもらって、高麗の真実を教えたい」
 
ミンスはもうギブアップだった
ここにきて下手な誤魔化しなどできる訳もなく
黙って頷くしかなかった
ウォノンはソファーの背もたれから身体を起こし
浅く座り直した、そしてまずは自分が誰かを話し始めた
 
「私は高麗30代の王であった慶昌君である」
 
「「へっ?えっ?王様!!!うっそ~~!」」
 
驚きのあまり同時に声が裏返ってしまう二人
これにはウォノンも笑ってしまう
それからチェ・ヨンが近衛として守ってくれた事
辛かった在位期間ではあったが
大国元からいきなり降された廃位
王宮を追われチェ・ヨンと離れ離れになり
江華島での幽閉生活、そこでウンスに出会った事
 
ここではジノが元に対する怒りに顔を赤らめ
ヘジンは目を潤ませた、ウォノンはそれが嬉しい
その後チェ・ヨンとウンスと共に
江華島を脱出してララに会った事
 
「えええ~~~っララお姉さん家出じゃなかったの?」
 
またしても驚くジノとヘジン
そして高麗では既に死んだ事になっていて
戻っても辛い隠遁生活になる事
ウォノンは自分の身に起こった事を包み隠さずに話した
 
そしてその頃一階の仕事部屋には
ウォノンのメモが届けられていた
ヨンはメモを読んでから
腕組みをして天井を見上げたままだ
ウンスもため息しか出てこない
ジノに知られてしまった…
 
知られてしまっただけならまだ良い
普段からあれだけチェ・ヨンを慕っているのだ
ジノが口にする言葉は
チェ・ヨンにもウンスにもわかっていた
 
「行かなくて良いの…心配なんでしょう
ワン・ギさんのお迎えは私だけでも大丈夫よ」
 
ヨンは天井を見上げたまま
 
「いや…迎えを済ませてからにしよう」
 
そう言うと勢いをつけて立ち上がる
 
「行くぞ…」
 
そう言うヨンにウンスは黙って付いて行った