もう一つの物語り【愛染】296 | シンイLove♥魅惑の高麗ライフ

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あくまでも管理人の妄想の世界です。
ご了承の上お読みくださいませ。

 
 
 
 
「それで用事は何だったんだ」
 
ウォノンの肩をぽんと叩きその隣りに座るミンス
 
「それが…院長先生に聞きたいことがあって」
 
ジノの声は少々トーンダウンした
そこまで言って後が続かない
その様子を見ていたヘジンが
 
「院長先生…実は」
 
と言いかけたがミンスはそれを制した
 
「ジノ…私の所に後先考えずに来るほど
お前にとっては大切な用件なのだろう」
 
ジノが頷くのを確認すると
 
「それなら自分で言いなさい
ヘジンも気持ちはわかるが待ってやりなさい」
 
穏やかなミンスの声に、ジノは少し安心した
しばらく何か考えていたようだったが
まっすぐにミンスを見つめると
 
「師匠は何処から来たんですか?
高麗ですか?
もうすぐに高麗に帰ってしまうって本当ですか」
 
一気に言ってしまったが、ミンスは笑わなかった
 
「聞きたい事とはその事か?」
 
ヘジンはミンスの隣りに居るウォノンが気になった
ジノの言葉を聞いて視線が彷徨い
どうにも落ち着かない様子に見えた
 
「院長先生、何で笑わないの?
これって笑える話でしょう、頭変だって言われても
ぜんぜんおかしくない話でしょう
私、はじめにに聞いたとき馬鹿らしくて笑いました
笑わないのはジノの話しが本当だから?」
 
一気に話すヘジンにもミンスは黙ったままだ
しばらくの沈黙の後
 
「ウォノンの病気治療のためアメリカから来たんだ
ウォノンの事は伏せていたが、アメリカから来た事は
はじめに伝えたと思うが、忘れたのか?」
 
一切動揺することなく静かに話すミンス
だがジノはそんな事で納得しない
 
「でも院長先生、トクマン兄ちゃんが…」
 
そう言いかけたジノを今度はヘジンが止めると
 
「Hello ウォノン
I warm today(今日は暖かいね)」
 
ウォノンに向かって話しかけるヘジン
一方のウォノンはHelloがこんにちは
という挨拶だと言うのは分かったが、それ以外はわからない
焦ったように隣のミンスを見る
ミンスは微笑んでウォノンの頭を軽く撫でる
 
「アメリカで育ったのなら
これくらいの英語はわかるでしょう」
 
ヘジンがウォノンに追い打ちをかけるように
問いただす、だがミンスはそれを無視するように
ジノに訊ねる
 
「ジノ…トクマン君から何を聞いたんだ」
 
「別に僕に話した訳じゃないです
トクマン兄ちゃん、テマン兄ちゃんとカンギョが
話してたのを偶然聞いたんだ…
ドラマの話しとか言って誤魔化してたけど…
あれからずっと調べたんです
僕は師匠がチェ・ヨン将軍だと思ってます」
 
ミンスは深く長い息を吐く
 
「彼等はアメリカから来たんだ
ウォノンの手術も成功したからもうすぐアメリカに帰る…」
 
だがジノも今ではヘジンもそれを信じようとはしない
 
「院長先生は嘘つきだ…」
 
ジノは泣きだし、ヘジンはジノの肩を抱き
 
「否定するなら最初からするべきでしょう
明確な否定もせずに、今頃になってアメリカに帰るだなんて
信じろって言う方が無理があるわ
ジノにとってチェ・ヨンさんは、大切な人なの
唯一無条件で信じられる人なの
知りもしないくせに…親や家族の居ない私達にとって
一生に一度巡り会えるかどうかの人なんだよ…」
 
それでもミンスは無言だった、だが…
しかし予想外にウォノンが反応した
 
「ジノの気持ちは痛いほどわかる…
私もチェ・ヨンに守られ、チェ・ヨンを頼りにここへ来た
そして父さんに会うことができたのだ…」
 
「父さんって…ウォノンは院長先生の子供になるの?」
 
ヘジンは驚きの声をあげた