新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
先日、母と姉と3人で父のお墓参りに行った時の話です。
集合場所に向かって、1人電車に乗っていると、向こうの車両から姉が手を振りながら
歩いてくるのが見えました。視線の先を見ると、私と同じ車両に乗っている人が同じように
手を振っています。そうです、母が姉に向かって手を振っているのでした。
まだ2人は私に気付いていないようだったので、母に近づいて行って「お母さん」と肩をポンと
後ろから叩きました。いつものように、「あら~ともこさん、ここに居たの!」と笑顔で返答があると
思っていたのですが、母は振り返ると私の顔をマジマジと見つめ、少し言いにくそうに
「どちら様ですか?」と、真顔で聞いてきました。
(え?どちら様って、私のことがわからないの??)
生まれた時から一緒にいた母親から、まるで他人のように「どちら様ですか?」と言われるなんて思ってもいなかったので、あまりの衝撃で、「今私は時空転生をしてしまって、この世界では私は存在していないのかもしれない」、と思い、目の前がクラクラしたほどでした。
よく親が認知症になってしまい、自分のことがわからなくなってしまってショックだったという話を
聞きます。悲しいことだけれど、認知症だから仕方ないじゃないか。逆に他人だと思ってくれた方が我儘を言われることもなく、良い関係を作れるかもしれないのではないか、、、などと浅はかなことを考えていた私が馬鹿でした。実際に体験してみると、自分の存在がなくなってしまったかのような衝撃でした。
私だと気づいてからの母は、「ごめんなさい。目の周りが黒く見えたから、、、いつも駅でみかける人にそっくりだったのよ~」などと言っていましたが、「いやいや、いつもと同じメイクだよ」「姉はすぐに気づいてくれたよ」と突っ込みながらも(母も80歳を過ぎて、認知症になってもおかしくない状態。。。もしそうなっても今から受け入れる覚悟をもたなくては、、、)と心に深く刻み込んだ出来事でした。