実験結果から色々と考えさせられるのですが、マーチンギターに置き換えて見るとなんとなく、マーチンのロッドの変遷の歴史が見えてきたような気がしました。

マニアの間で人気の戦前のマーチンは数百万の値段が・・・まあそれは置いといて。
その当時のTバーロッドが良かった。
ネックの材質も良かったから、Tバーで相性ぴったりだったんでしょうね。

その後のマーチンは戦時中の金属不足からエボニーロッドに変更になる。
これはウッディーな音で悪くは無いけど・・・やっぱり高音まで抜けるような高周波の部分は無い。
僕が木製ロッドで物足りない音だったのと同じじゃないだろうか?

その後に金属ロッドが復活。
スクエアーロッドの角棒は質量が重すぎて音の響きが弱かったんだと思う。
軽量の角パイプは良いけど、中空なので音を伝える能力が弱い。
だからパイプの中にニカワを入れて固めると音が改善されるそうな。
ニカワってのは固まると異常に硬い。

時代は進んで、アジャスタブルロッドに変更になった時には、マーチンマニアは「もうマーチンではない」と言ったほど変化したそうです。
でもマーチンとしてはパイプよりはロッドが良いと判断したのでしょう。
音を伝える役目は果たしたと思う。

2003年からネックのマホガニーが使えなくなってセレクトハードウッドになった。
これは軽量なので音は良いけど強度は弱い。
見分けるのは簡単で、ヘッドの両脇に5mm程の継ぎ目があります。
表面は化粧板で隠してありますが、裏側は見えます。
そのネックは、アジャスタブルロッドがしっかり効かないと耐えられない材になってしまってダブルアクションのロッドに変更になります。
重くて太くて短い。
順反り逆反りの両方に効くけど太くて重い。
長いと音を阻害するので短くしたのかも?

・・・ただ、そのアジャスタブルロッドはユーザーが回してはいけませんって?
取説には購入したお店に相談するように書いてあります。
実際にやってみるとロッドの頭が奥の方なので、六角レンチの頭を合わせるのは熟練が必要でした。
だったらアジャスタブルロッドの利便性ってのはどうなんでしょう?
アジャスタブルロッドの調整も店にわざわざ持って行くなら、ユーザーにとっては壊れてリペアに出すのと同じじゃないか?

たぶん、もう少ししたらマーチンもアジャスタブルロッドを止めるのではなかろうか?
それよりカーボンで補強して、音を伝える金属バーを工夫した方が音は良く成ると思う。
最近のマーチンのネックの中の構造は、どうなってんでしょうね?
将来マーチンの進化がどうなるのか期待しています。

ところでマーチンの言うセレクトハードウッドってのは何なのでしょう?
ワシントン条約に関係ないマホガニーって何でしょうね?

日本でも今も販売されてるホンジュラスマホガニーってのはプリウォーマーチンの時代の本物なんだろうか?
ひょっとしたら植林のホンジュラスマホガニーではなかろうか?
未熟で弱くないだろうか?

ある商社の人から聞いた話ですが、シンガポールの街路樹にキューバンマホガニーが植林されていたそうな。
街路樹は大きく成り過ぎて伐採されてるらしく、それが輸入されてるそうです。
東南アジアの植林事業でもキューバンマホガニーやホンジュラスマホガニーが使われてたので、少しは輸入できるそうです。
・・・そのうちハカランダもどこかで植林されたものが出回るんじゃなかろうか?

マーチンギターから話がそれてしまいましたが・・・
ギター材の品質表示をしてほしい。
食品偽装の話しみたいだけど・・・
ホントの産地と伐採年月日。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

工房はしっかりガンバってます。
午前中は本職の仕事で、午後から4時頃まで工房で作業してます。
夕方少し本業をやって、その後、夜はギターの練習と工房とあれこれ・・・

今日はギブさんの修理してました。
真鍮ロッドを仕込んで、ついでにお腹を凹ませる矯正をやりました。
ブリッジが剥がれかけてたので修理



ここまで行ってるとスチームですぐにポロンと剥がれました。



塗装の上に貼り付けていたので、塗装を剥がして平ら削りました。



ギブさんにはお世話になったので、きっちりリペアしてあげました。