風も少しずつ心地よいものになってきたソフィアの街。
この街から数々の冒険者が生まれ、ある者は剣士に、ある者は賢者に、ある者は戦士に……それぞれが自由に己の道を進んでいく。
そんなソフィアは、いつも冒険者たちで溢れている。そして、その冒険者たちを見守るかのように政庁は佇んでいる……

ソフィア政庁……ここには神がいる。女神ピーノ、このソフィアの守護神であり、冒険者たちの守護神でもある。しかし、女神ピーノに謁見できる冒険者は多くはない……では、なぜ冒険者の守護神となりえるのか?
今日、そのためにひとりの冒険者がソフィア政庁へ謁見のためにやってきた。ピーノは彼女を近くに招き、ほほえみながら尋ねた。
「アトリア、覚悟は決まりましたか?」
ピーノの側でひざをつき、かしこまっていたその冒険者は、緊張した表情こそ見えたものの、その眼はピーノをしっかりと見据えていた。そして……
「はい、ピーノ様。このソフィアのギルドマスターとして冒険者を守りたいと思います」
その返事をすでに予知していたかのようにピーノは手に持っていた剣をアトリアに渡した。
「あなたに女神としての加護を与えます。冒険者たちをその力で守るのですよ」
そう、この街には冒険者ギルドがあり、そのギルドマスターは女神の力を持つ……ギルド員は、そのギルドマスターから神の加護を受けているのだ。
「ありがとうございます、ピーノ様」
剣を授かったアトリアは、深々と礼をした後、静かに、しかし凛とした声で
「ギルド名はat homeとしたいと思います」
とピーノに向かって伝えた。ピーノは一瞬ほほえんだが、次の瞬間には天を仰ぎ、そして天上にいる神々に向け宣言するかのごとく、
「今、ここにギルドマスター、アトリアの加護を認める!願わくばギルドat homeにその加護のあらんことを!」
いつものにこやかな表情に戻ったピーノは、アトリアに視線を向け、
「アトリア、ギルドは神の加護を受けたギルドマスターのみでは冒険者を守れません。精霊の加護を受けることのできる者、サブマスターとなる資質のある者を探すのです」
「はい、承知しました」
応えたアトリアであったが、今までソロ冒険者として活動してきた彼女にはつてはない。最初はソロでクエストをこなしつつ仲間を見つけようと思っていたが、そうはいかなさそうだ。だが、ピーノから発せられた次の言葉は予期せぬものだった。
「あなたは何もしなくていいわ。今まで通りにしていなさい。いいわね?」
さすがのアトリアもこれには驚いた。数は少ないがギルドマスターと呼ばれる冒険者は、みんな仲間を探し、集めていた。アトリアもそれを見たことはあった。ゆえにソロ冒険者のアトリア最大の不安要素がギルド員の構成であり、ギルドマスターの要請を受けるか迷った最大の原因だったのだ。しかし、何もしなくていいとは……
「あなたは、4人の精霊使いと出会う運命にあります。それを大切にするのですよ?よいですね?」
ピーノはそう言うと、踵をかえし、神殿の奥へと戻って行った……
「ほんとに大丈夫かなあ……」
思わず口にしてしまったことに気づき、はっとするアトリアだったが、すでに周りには人は誰もいなくなっており安堵する。
「でも、4人の精霊使いかー、楽しみだなあ。さて、今日もひと仕事するか」
ギルドマスターとなったことなど忘れたかのようにアトリアはいつもの冒険者アトリアとして街に戻っていった。

アトリアがソフィアで指折りの冒険者ギルドマスターとして名を馳せるのは、このずっと後のおはなし……

あとがき
突然気が向いて、物語を書きましたが、感性のまま、一発清書してるので、めちゃくちゃです笑笑。少しずつ物語を進めていくので、気長に待ってやってください。
文字のみで小説みたいに書いていこうと思いますので、さらに読みにくいかもですが……(挿絵誰かにお願いしなきゃなあ……)

※この物語は全てフィクションです。登場人物名などはリアルトーラム内のプレイヤーと同名なだけであり、その人格やキャラステータスなどは一致しません。