イギリスの巨匠ケン・ローチが、「わたしは、ダニエル・ブレイク」「家族を想うとき」に続く「イギリス北東部3部作」の最終章として撮りあげたドラマ。
イングランド北部にある炭鉱の町で、最後に残ったパブとして住民たちから親しまれる「オールド・オーク」。町が活気にあふれていた時代から約30年が過ぎ、現在は厳しい状況に陥っているが、店主のTJ・バランタインは試行錯誤しながら経営を維持していた。しかし町がシリア難民を受け入れはじめたことで、人々が安らぎを見いだす場所だったはずのパブが、居場所を争う場へと変貌してしまう。そんな店の先行きに頭を抱えていたTJは、カメラを携えたシリアの女性ヤラと出会い、思いがけず友情を育んでいく。
ローチ監督と数々の名作でタッグを組んできたポール・ラバーティが脚本を手がけ、温かくもリアリズムあふれるまなざしで描き出す。パブの店主TJ役に、「わたしは、ダニエル・ブレイク」「家族を想うとき」にも出演したデイブ・ターナー。2023年・第76回ロカルノ国際映画祭で観客賞を受賞。第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
2023年製作/113分/G/イギリス・フランス・ベルギー合作
原題または英題:The Old Oak 映画.comより転載
ケン・ローチ監督の映画、中期までは1969年『ケス』しか観ていません。
中期以降2006年『麦の穂を揺らす風』~本作まで、ほぼ鑑賞しています。
2014年『ジミー、野をかける伝説』でいったん引退宣言をされたけれど『わたしは、ダニエル・ブレイク』で復帰、続けて『家族を想うとき』、そして本作と続きます。
引退宣言をされた後の三作は作風は同じだが、明らかに以前とは違う、余裕がないというか、作品にゆとりがない、声高に言いたいことを台詞で言っている、怒りだけでは映画としてどうかなと思うところがある。
本作もそうで、言いたいことはよくわかる、ヘイトの本質を指摘している、それは十分伝わってくるけれど、伝わるってそうじゃないんだよなとも思う。
TJは最後に力を振り絞って連帯と再生の場所を作ったが、それもかつての仲間に裏切られ再生不能に、とはいえ、一人ぼっちではない、理解しあえる仲間も出来たのだけれど。
愛犬マラも大きな力に押しつぶされて…TJの最後の愛だったのだと思う。
最終盤の展開、シリア人女性ヤラの父が亡くなったことを知った町の人々が次々と集まってくる、うーーーーん、これって、唐突で、なぜ?
つづいてのシーンはシリア人たちが織ってくれた大きなオールドオークの(旗?)を掲げて地元民も移民も連帯の大行進。
この展開に行き着くにはは何年も何十年もかかる、果たして出来るだろうか。
ケン・ローチ監督は”できる”という希望を持っているのだろうか、そうではないだろう、最終盤の展開は監督の願望に過ぎない、そして、引退宣言以降の作品には監督の敗北と絶望を感じてしまう。
ここで描かれていること、これは日本の今とほぼ同じだ、私たちは、監督の願望がかなえられると思うのか、と問われている気がする。


