中国を舞台に、罪を背負った青年と黒い犬の絆を美しいブルーグレイの映像で描き、2024年・第77回カンヌ国際映画祭にて「ある視点」部門の最優秀作品賞とパルム・ドッグ審査員賞を受賞したヒューマンドラマ。

2008年、北京オリンピックの開催が迫る中国。誤って殺人を犯し服役していた青年ランは刑期を終え、ゴビ砂漠の端に位置するさびれた街に帰郷する。人の流出が止まらず廃墟が目立つ街には、捨てられた犬たちが野犬化し群れをなしていた。知り合いの警察官に誘われ地元のパトロール隊で働くことになったランは、ある日、群れに加わらず単独行動している黒い犬と出会う。賢く決して人間に捕まらないその犬とランとの間には、いつしか奇妙な絆が芽生えはじめる。

「疾風スプリンター」「オペレーション・メコン」のエディ・ポンが寡黙な青年ランを時にユーモラスに演じ、「フラッシュオーバー 炎の消防隊」のトン・リーヤーが共演。さらに、映画監督のジャ・ジャンクーが重要な役どころで出演。「エイト・ハンドレッド 戦場の英雄たち」のグアン・フーが監督を務めた。

2024年製作/110分/G/中国
原題または英題:狗陣 Black Dog               映画.comより転載

 

 

 

カンヌ映画祭パルムドッグ賞受賞の映画はとりあえず観る

それなりの出来じゃないといくら犬の演技がよくても受賞は出来ないだろうし、いままで期待外れの映画はなかった。

ある視点部門グランプリ作でもあるので期待はあったし、魅力的な映画になっていた。

比較的エンタメ性のあるジャ・ジャンク―監督映画という感じ、ジャ・ジャンク―も俳優として出演しているらしい、監督の顔は判別できなかったのだが、あとで調べると重要な役どころでした。

再開発でさびれた街、時代に置き去りにされる住民、旅のサーカス団、崩壊寸前の動物園、そこに住む主人公の父と父の可愛がっているトラ、明日の見えない人々が描かれている(トラも重要な役どころ、幻想的なシーンが良い)。

 

人々は荒んだように見えて、人情は失っていない、根はやさしい人たちだ。

主人公のやさしさもユーモラスなエピソードとして描かれる。

主人公は犯罪を犯したと言っても故意にではない、周りの人もそこはわかっていても感情が邪魔をする、一言謝ってくれればよいのだという言葉があるが。

主人公のセリフはない、いや歌うシーンはあったように思うので話せないわけではないが、話さない、心を閉ざしているということなのだろう。

 

狂暴な野犬の黒い犬と出会って彼は変わる、そこに孤独な自分の姿を見たのかもしれない。

しかし、一人と一匹の幸せは長くは続かなかった。

 

さびれた街

 

一匹の野良犬と出会い、孤独が癒されていく。

 

サイドカーに犬、ユーモラスな場面もあり、ラストシーンへの布石となっている。

 

黒い犬を正式に譲り受け、飼い犬登録のための写真を昔のバンド仲間に撮ってもらう。このシーンもユーモラス。

主人公はかつてはバンドをやっていて街のスターだったのだ。

 

 

 

サーカスの女と親しくなるが恋愛には発展しない、お互いまんざらでもないようだが、二人ともが現実から逃げている。

 

どこへ行くのも一緒、かけがえのない存在になっていた。

 

 

地震の日以来行方不明になった犬、探し当てたときは瀕死の状態だった。

 

 

ネタバレ

再び孤独に戻るのか、と思われたが、一人と一匹は希望に向かって前進することを選ぶのだった。

一匹とは?

非情に見えながら、心優しい映画だった。

 

そういえば序盤に”日蝕”の話題が振られていて、終盤近くその日蝕のシーンで大団円を迎える。動物園の動物も解き放たれ、という白昼夢のような幻想が描かれる。

解放に向かうというか、主人公たちもまた旅立つ、オートバイで背中に犬、黒い犬にそっくりな子犬。

BGMはピンクフロイド、ひたすら前へ向かって。