「6才のボクが、大人になるまで。」のリチャード・リンクレイター監督がケイト・ブランシェットを主演に迎え、マリア・センプルのベストセラー小説「バーナデットをさがせ!」を実写映画化したヒューマンコメディ。
シアトルに暮らす専業主婦のバーナデットは、一流企業に勤める夫や親友のような関係の愛娘に囲まれ、幸せな毎日を送っているかにみえた。しかし彼女は極度の人間嫌いで、隣人やママ友たちと上手くつきあうことができない。かつて天才建築家として活躍しながらも夢を諦めた過去を持つ彼女は、現在の退屈な日々に次第に息苦しさを募らせていく。やがてある事件をきっかけについに限界を感じたバーナデットは、家族の前からこつ然と姿を消し、南極へと向かう。
共演は「君が生きた証」のビリー・クラダップ、「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」のクリステン・ウィグ。
2019年製作/108分/G/アメリカ
原題:Where'd You Go, Bernadette 映画.comより転載
ケイト・ブランシェット主演の比較的短尺な映画はないか?とU-nextで探していたら、おーーーこれだ!というのがあった。
リチャード・リンクレイター監督作だし、ケイト・ブランシェットが挫折した天才建築家の役なのだ、天才の挫折、これって『TAR』ではないか!
一般ピープルから見たら絵にかいたような幸せモデルのバーナデットの家族、優しく切れ者の夫、勤務先は超一流マイクロソフト社だ、一人娘もさすが彼女の娘というところあり。
(以下ネタバレ)
人並み以上の才能を持った天才には普通の日常生活ではストレスがたまる、トゲトゲだらけになった当たり散らされたらたまったものではない、そしてついには自家中毒状態に(鬱かな?)、ありえない失敗の連続で、夫は彼女にカウンセリングを受けさせるが・・・こういう人にカウンセリングを勧めるのは難しい、結局悩んだ末本人の了解を得ずという、え?という展開に。
バーナデットは一人で南極に向かったのだ・・・・ここで冒頭のシーンになる。
南極旅行というのは家族で行くことになっていたのが、自分の失態で傷ついたバーナデットは一人で出発してしまう、後を追う夫と娘は彼女を見つけることができるのか?
というようなお話の映画だが、破天荒なバーナデットの行動力は、南極であり得ないようなチャンスを捕まえることになる。
良かったわね、私が変人好きで!
これ、キーワード、変人同士で分かり合える才能というか。
ネガとポジは表裏一体、長年の苦悩がひっくり返った瞬間、天才復活のイケイケハイテンションの感じがさすがケイト、似合っています。
これは天才のお話ですが、普通の人であってもこんなに派手ではなくとも同じような展開になるだろう、そこに共感できる作りになっています。
すべてがうまくいって、良し良しとご機嫌でハイセンスのエンドクレジットへと(このハイセンスはオリジナルでないようなのは残念)。
ブランシェット好きにはおすすめの映画です。
リンクレーター映画の持つ独特の風通しの良さも好み。