「太陽がいっぱい」「リプリー」の原作者として知られるパトリシア・ハイスミスのサスペンス小説「殺意の迷宮」を、今作が初監督となる「ドライヴ」の脚本家ホセイン・アミニにより映画化。1962年、ギリシャのアテネでツアーガイドをしているアメリカ人青年ライダルが、パルテノン神殿で優雅なアメリカ人紳士チェスターとその妻コレットと出会う。夫妻に魅了され、彼らのガイドを務めるライダルだったが、チェスターがホテルの部屋に現れた探偵を殺害し、ライダルがその後始末を手助けしたことから3人の運命は激変。警察にも追われる身となった3人は、後戻りできない破滅への道を突き進んでいく。紳士とその妻にビゴ・モーテンセン、キルステン・ダンスト。ライダル役に「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」のオスカー・アイザック。

2014年製作/96分/G/イギリス・フランス・アメリカ合作
原題:The Two Faces of January              映画.comより転載

 

 

公開時鑑賞を迷っていた映画ですが、ブロ友さんの記事で想像していた映画とはかなり違う気がしてさっそく鑑賞。

かなり違うというのは、サスペンス映画というよりギリシャ悲劇的人間模様に重きが置かれた映画というようなので、愛憎が悲劇に転じてというような映画は好みなんです。

で、鑑賞した結果、サスペンス映画としてはストレートで物足りないというところありますが、あからさまではない抑制のきいたギリシャ悲劇(オイディプス王のお話のような)的展開は魅力がありました。

サスペンスと言えばそうだけれど、好きな人は深読みするんですね~。

深読みではなく、そう作られていると断言。

先ず、背景はギリシャです、アテネからクレタ島へ、そしてイスタンブールへと。

時代は1962年、主演は美形三人、アメリカ人観光客である初老のチェスター(ヴィゴ・モーテンセン)が洗練されていて素敵、その妻コレット(キルスティン・ダンスト)とは父娘ほど年齢が違う、そして彼らの観光ガイドをすることになる青年ライダル(オスカー・アイザック)。

 

 

若く美しいコレットがどういう人物かは描かれていないけれど、重要なのはチェスターとライダルの関係でしょう。

それぞれが実は胡散臭い背景を持っているのがわかるところから、二人の人間関係が複雑さを帯びてくる。

若く美しい妻をめぐっての嫉妬や腹の探り合いに見えながら、実は心の内はそう簡単ではない。

とはいえ、推測できるというようにしか描かれていない、そこを物足りないと捉えるか、観客の想像力を信頼した演出ととらえるかで評価が分かれるような気もします。

 

 

1962年当時の現代劇として再現されたギリシャ悲劇的お話はレトロな雰囲気もあり余韻が深い。