「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが再びタッグを組み、スコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説を映画化。2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金獅子賞を受賞し、第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞ほか計11部門にノミネートされた。

不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。

プロデューサーも務めるストーンが純粋無垢で自由奔放な主人公ベラを熱演し、天才外科医ゴッドウィンをウィレム・デフォー、弁護士ダンカンをマーク・ラファロが演じる。「女王陛下のお気に入り」「クルエラ」のトニー・マクナマラが脚本を担当。

2023年製作/142分/R18+/イギリス
原題:Poor Things                    映画.comより転載

 

 

ビクトリア朝時代のロンドン。特殊カメラで撮影したゴシック(ケン・ラッセルの映画なんて好きなんです)+ヴァージニア・ウルフのテーマという感じの映画かな。

予算もふんだんに使われているのがわかる想像力を駆使したシュールで芸術的な美術に圧倒されます、その映像の中に存在するベラ(エマ・ストーン)の衣装も奇抜、不自然なはずだがそうは見えない、すべてが不自然だから、それが自然、そう見える。

 

 

これはフランケンシュタイン博士の手によってよみがえったかのような二人のモンスターが人間になるお話?。天才外科医”ゴッド”バクスターの容貌はまさにフランケンシュタイン、そして彼の手で死の淵から蘇ったベラは成人した女性の肉体を持つ幼児、バクスターの屋敷で社会と隔絶、純粋培養され成長途上にある(二人目の怪物というべきか)

好奇心の赴くまま欲望を制御できない、中身は幼児であるからそれが許されている。

肉体は大人であるので性的快楽への目覚めは異常に早い。

 

 

屋敷を訪れたダンカン(マーク・ラファロ)とともに欧州を巡る旅に出る、ベラは頭脳優秀で、急速に精神世界が成長するが、そこには常識や固定観念は一切ない。

旅の途中で二人の人物と出会う、彼らは彼女の精神のバックボーンとなる。

私の心も体も誰にも従属しない私のものだ。

特殊な環境に置かれた(この環境の設定がこの映画の大きな魅力です)一人の女性の成長物語、ヨルゴス・ランティモス監督の映画の中ではじめてエンタメと芸術が合体した映画という感じです。

 

エマ・ストーンの大人の体を持つ幼児の演技が素晴らしくて、性に目覚めてからのふんだんにあるSEXシーンがエロくない、これは、エマ・ストーンならではだと思います、惜しげなく裸身をさらす体を張った演技に圧倒されます。

ベラが最後に行きつく先、そこには”父”に与えられた愛があったからでしょう。

でもこのラストでいささかテンションが下がった気がしました、俗っぽい雰囲気が出たのです、これでいいの?いや、これでいいのかな、悪趣味なコメディというところあります。

 

長尺ですが長さは全く感じません、終始エマ・ストーンの演技に圧倒されます。

そして、、、、マーク・ラファロの声が魅力的なんです。