2020年11月の深夜、バス停のベンチで北林三知子(板谷由夏)が仮眠をとっている。そこに男が通りがかり、拾った石を入れたコンビニ袋を三知子の頭に振り上げた―。(2020年に起きた渋谷ホームレス殺人事件に着想を得た作品)
三知子は45歳の一人暮らし。自作のアクセサリーを販売する傍ら、焼き鳥屋で住み込みのパートとして働いていたが、コロナ禍で仕事と家を同時に失ってしまう。実家や友人を頼ることもできず、新たな職も見つからない。スーツケースひとつで街をさまよい、三知子はいつしかホームレスになっていた。ホームレスの集う公園にたどり着いた三知子は、「派手婆」(根岸季衣)と「バクダン」〈柄本明)と呼ばれる男性と出会う。
一方その頃、三知子の働いていた焼き鳥屋の店長・寺島千春(大西礼芳)はコロナ禍に翻弄され、店の経営や従業員への対応、上司である店のマネージャー・大河原(三浦貴大)のパワハラに悩まされていた。そこで千春は、退職を覚悟で「ある行動」に出ることにする。
ウィキペディアより抜粋編集
高齢者は背筋を伸ばせ、丸くなってはいけない、という映画
コロナ禍で行きはぐれ生活が立ち行かなくなった人も多いのだろう、弱者はどう転んでも詰んでしまって救いがない、社会や政治のせいだけではなく自分のせいでもあるのだろうが、生き方が下手な人もいる、うまく立ち回れない。
社会が上手く回って景気の良いときは誰もがそれなりに生きられた、でも、今は違う。
そんな中自己責任と言われても、どうしようもないものはあるのだ、世間を知らない恵まれた人間にそんな言葉は言ってほしくない。
監督は物申す高橋伴明さんです。
本作は声高に物申しています。
あの時の安倍総理はなんだ、菅総理の無責任な態度はどうだ、大きな怒りを感じます(演説シーンを挿入)。
政治はもっと国民のほうを見るべきだ。
とはいえ救われないことばかりではない、実際の事件は悲劇だったが、映画では人の善意が感じられ、人間への肯定も感じられる。高橋伴明さんも優しくなった(「痛くない死に方」も厳しく優しい映画だった)。
映画の展開として、自家製爆弾で社会に報復しよう、というところはいただけないし、それが冗談で不発だったというのもいただけない。
でも正面切って自分の主張を映画にするというのは、生ぬるい邦画界において気を吐いています、かっこいいです。
柄本明さんはこの頃引っ張りだこで、どの映画でも灰汁の強い役で目立っていますが、本作では主演女優松谷由夏さんに存在感があり、対等に渡り合っているところ痛快でした。
政治の話はしてはいけないみたいな日本の空気は良くないな~と思うんですが、現実問題なかなかむつかしいものがあります。