「ジョーズ」「E.T.」「ジュラシック・パーク」など、世界中で愛される映画の数々を世に送り出してきた巨匠スティーブン・スピルバーグが、映画監督になるという夢をかなえた自身の原体験を映画にした自伝的作品。

初めて映画館を訪れて以来、映画に夢中になった少年サミー・フェイブルマンは、母親から8ミリカメラをプレゼントされる。家族や仲間たちと過ごす日々のなか、人生の一瞬一瞬を探求し、夢を追い求めていくサミー。母親はそんな彼の夢を支えてくれるが、父親はその夢を単なる趣味としか見なさない。サミーはそんな両親の間で葛藤しながら、さまざまな人々との出会いを通じて成長していく。

サミー役は新鋭ガブリエル・ラベルが務め、母親は「マンチェスター・バイ・ザ・シー」「マリリン 7日間の恋」などでアカデミー賞に4度ノミネートされているミシェル・ウィリアムズ、父親は「THE BATMAN ザ・バットマン」「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」のポール・ダノが演じるなど実力派俳優が共演。脚本はスピルバーグ自身と、「ミュンヘン」「リンカーン」「ウエスト・サイド・ストーリー」などスピルバーグ作品で知られるトニー・クシュナー。そのほか撮影のヤヌス・カミンスキー、音楽のジョン・ウィリアムズら、スピルバーグ作品の常連スタッフが集結した。第95回アカデミー賞で作品、監督、脚本、主演女優(ミシェル・ウィリアムズ)、助演男優(ジャド・ハーシュ)ほか計7部門にノミネートされた。

2022年製作/151分/PG12/アメリカ
原題:The Fabelmans

 

 

とても、アメリカ映画なんです

昨年から今年にかけて、映画愛の映画は”またか”というくらいあった、どれも悪くない出来だった。

本作もそうだ、でも他の作品と比べやはりスピルバーグは巧いと思わせられた。

 

エンタメの帝王、スピルバーグ。

実はあまり好きではないのです、エンタメに徹した作品は良いのでしょうが・・・

例えば『カラー・パープル』『太陽の帝国』『シンドラーのリスト』とか、どうにもその演出手法が好きになれない。

ところが近年、『ブリッジ・オブ・スパイ』あたりは、素直に巧いな~と感心してしまう。

やはり凄い才能の持ち主だと思わずにいられない。

 

そして本作、鑑賞後一週間以上過ぎています、良かったです、観た直後は単にそう思った。

そして今、ものすごくよかった、と変わっています。

The Fabelmans、家族のお話です。

単に映画愛だけではないし少年の成長の物語だけでもない。

 

フェイブルマン少年の成長が、彼の物語にとどまっているだけではない。

ちょっとクサい言葉でいえば、人間を描こうとしているし、成功しているように思う、文学的なんです。

フィルムの中に見える真実は少年を打ちのめすけれど、それが生きることなのだと知ることになる。

幸せな家族写真からは見えないもの、それを少年が知ること、そして受け入れるしかないこと、この辺り、あまりにも巧みであって、いつまでも心に残るものがあります。

母を演じるミシェル・ウィリアムズが良いのです。

 

本年度アカデミー賞、アカデミー賞はもうどうでもいいやというところもありますが、私の好みでは『イニシェリン島の精霊』を推したい、でも本作もとても良いのです。

私がこれほどスピルバーグを褒める日が来るとは夢にも思わなかった(笑)

 

ジョン・ウィリアムズが手掛けた音楽もとても良かったし、クラシック音楽のチョイスも好みだった。