「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督が、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーら豪華キャストを迎え、1920年代のハリウッド黄金時代を舞台に撮り上げたドラマ。チャゼル監督がオリジナル脚本を手がけ、ゴージャスでクレイジーな映画業界で夢をかなえようとする男女の運命を描く。
夢を抱いてハリウッドへやって来た青年マニーと、彼と意気投合した新進女優ネリー。サイレント映画で業界を牽引してきた大物ジャックとの出会いにより、彼らの運命は大きく動き出す。恐れ知らずで美しいネリーは多くの人々を魅了し、スターの階段を駆け上がっていく。やがて、トーキー映画の革命の波が業界に押し寄せ……。
共演には「スパイダーマン」シリーズのトビー・マグワイア、「レディ・オア・ノット」のサマラ・ウィービング、監督としても活躍するオリビア・ワイルド、ロックバンド「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」のフリーら多彩な顔ぶれが集結。「ラ・ラ・ランド」のジャスティン・ハーウィッツが音楽を手がけた。
2022年製作/189分/R15+/アメリカ
原題:Babylon 映画.comより転載
実はデイミアン・チャゼル監督作は苦手、『セッション』しかり、『ラ・ラ・ランド』は嫌いではないというところですが。
本作、デイミアン・チャゼルさんが描く映画愛という感じなのでしょうが、頭ではわかっても心には響きませんでした。
どうもね~手の内も先も見えてしまうのです。
しかも見えるのに描かれていない、多分こうだろう、と思っていると、やっぱり~、という。
とはいえ3時間の映画をスピード感を保ち飽きさせないというのはやはり観てみたいというものがあって。
飽きないというのは、とにかく常にテンションが高い。
でも、序盤からクライマックスをつなぎ合わせ、その間の余白が手抜きという感じで、それを終盤一気に感動作にしようというのでは作り手は良くても観客は、えー---?とか思ってしまいます。
マニーはいつネリーにすべてを捨てても構わないと思うほどの思いを持つに至ったのか、とか、そういうところが描けていないので観客の心は置いてけぼりになってしまうのです。
私、前半のやりすぎ系場面は全く気にならなかった(この監督ならそうかもと思うので)、でもトビー・マクガイアが出ているシーン、あれって『ナイトメア・アリー』ですね、あそこは悪趣味すぎて、しかも全く必要がない💦
この映画の良さは中盤の1時間くらいでしょうか。セットでの撮影シーンとか、音楽の入れ方とか、曲が知っている超有名曲なのに思い出せない、でもその曲に観客も思い入れがあったりしてとか、映画ファンならワクワクします。
とにかく曲名が気になる。
あと、これは巧いなと思ったのは、今のハリウッドの流行に合わせて人種まんべんなく、ストレートにユダヤ人をディスったり黒人への歪んだ見方、当時はなかったと思う女性映画監督がかっこよかったり、それがハリウッドのお話なので不自然にならない、バイセクシュアルなど当然という描き方です。
本作の見どころの大きな部分はブラッド・ピットかな~、サイレントの大スターがトーキーになって落ちぶれていくのが耐えられない、自分が消えてしまっても映画は残る、まあ、読めてしまうのですけれど、さすが大スターの彼、読めたっていいや、という魅力がありました。
そして本作最大の見どころは音楽です、音楽シーンだけでも元が取れる素晴らしさかなと思います。
黒人トランぺッター(演技最高!ワクワクします)の原点に戻る選択は、これもピットの選択と対をなして、良いです。
蛇足ながら、マーゴット・ロビーの声は今だとセクシーなハスキーヴォイスと言えるかもしれませんが、この映画の時代だと下品なガラガラ声でしょうね~。
この映画、マーゴット・ロビーが好きな人にはかなり魅力的かもしれません。
残念ながら私はタイプではない(どうでもいいけど)。
目当てはブラッド・ピットだわ~、でも主演のメキシコ人の新人?も良かった。