若き日の文豪シェイクスピアの秘められた恋の行方を、虚実織り混ぜながら描いた恋愛歴史劇。16世紀末のロンドン。人気劇作家シェイクスピアはスランプに陥っていた。ある日、彼の新作のオーディションにトマスと名乗る若者がやって来る。実はトマスは、裕福な商人の娘ヴァイオラが女人禁制の舞台に立つために男装した姿だった。逃げるように去ったトマスの後を追って商人の屋敷に潜り込んだシェイクスピアは、そこでヴァイオラと出会い恋に落ちる。しかし彼女には既に、親によって定められた婚約者がいた。燃え上がる恋心に創作意欲を刺激され、新作「ロミオとジュリエット」を書き上げていくシェイクスピアだったが……。主演は「エリザベス」のジョセフ・ファインズ。第71回アカデミー賞で作品賞など7部門を受賞し、ヴァイオラ役のグウィネス・パルトロウが主演女優賞、エリザベス女王役のジュディ・デンチが助演女優賞に輝いた。

1998年製作/123分/R15+/アメリカ
原題:Shakespeare in Love                映画.comより転載

 

 

文句のつけどころのない上質なエンタメ

以前にもDVD鑑賞していますが、記憶にあるのはラスト近くのエリザベス一世が泥水をものともせずフンッという感じで馬車に向かうシーンのみ、私は何を見ていたんだろう・・・・・・と思う秀作でした。

エンターメントかくあるべしという練られた脚本、魅力的な俳優陣、時代を再現する映像、ため息の出る衣装。

「ロミオとジュリエット」は実はシェイクスピアの現実の叶わぬ恋がベースに有った、という脚本はシェイクスピアとヴァイオラの禁断の恋(と言っても二人とも恋に潔い)と「ロミオとジュリエット」の物語とがシンクロしている、とても巧みで、これぞプロの仕事という完成度の高さだ。

映画は格調高く、しかもコメディタッチなのです、そこが巧い!

 

時代背景の描き方も史実と創作を巧みに交え説得力があります。

英国の貧乏貴族が活路をアメリカに見出し、たばこのプランテーションに手を出す、しかし資金がない。

豊かな財産を持つ商人は貴族と姻戚になりたいがため、出資を条件に娘を貴族に嫁がせる、女王の前で婚約が成立すれば何があろうと破棄は出来ない。

悲恋に終わるお約束ですが、そうはならない、もちろんハッピーエンドではないですが、巧みなラストシーンは大きな余韻を残します。

そんなお相手の貧乏貴族をコリン・ファースが独特の甲高い声で・・・短絡的な男という感じですが、貴族の豪華な衣装が似合っています。

そしてイメルダ・スタウントンがヴァイオラの乳母、さすが名優、とても良い味を出しています。

シェイクスピアのライバルにルパート・エヴァレット、主役級舞台役者にベン・アフレック(残念ながら似合っていません…笑)

エリザベス一世にはジュディ・デンチが貫禄のあるところを見せてくれます。

 

そして、この映画最大の見どころは、グウィネス・パルトローの美しさ、情感豊かで大胆な演技、どこをとっても文句のつけどころのない映画ですが、でも、グウィネス・パルトローさんあっての映画かな、と思います。