猫をモチーフにしたイラストで人気を集めたイギリスの画家ルイス・ウェインの生涯を、ベネディクト・カンバーバッチ主演で描いた伝記映画。

イギリスの上流階級に生まれたルイスは早くに父を亡くし、一家を支えるためイラストレーターとして働くように。やがて妹の家庭教師エミリーと恋に落ちた彼は、周囲から身分違いと猛反対されながらも彼女と結婚。しかしエミリーは、末期ガンを宣告されてしまう。そんな中、ルイスは庭に迷い込んできた子猫にピーターと名づけ、エミリーのために子猫の絵を描き始める。

「ファースト・マン」のクレア・フォイが妻エミリーを演じ、「女王陛下のお気に入り」のオリビア・コールマンがナレーションを担当。俳優・監督として活躍するウィル・シャープがメガホンをとり、「ある公爵夫人の生涯」のマイケル・オコナーが衣装を手がけた。

2021年製作/111分/G/イギリス
原題:The Electrical Life of Louis Wain           映画.comより転載

 

 

知識人は多かれ少なかれ電気の発展に注目していた、上流階級出身のルイス・ウェインもまた同じで電気の発展とともにあった人生という、そういう時代も描かれているのでこの原題なんでしょう。

送電技術の発見が1831年、発電機の発明が1870年。

ルイス・ウェインが猫画家として活躍したのが19世紀末から20世紀のどのくらいまでなんだろうか電気に関する発展が目覚ましいころです、彼は精神を病んでさほど長い作家人生でなかったようだ。

 

英国は階級社会であり、この時代はまだ全く進化なくとても閉鎖的で、しかもそれがおかしいと考える人はほんの少数だったのだろう。描かれているルイスを取り巻く社会はジェイン・オースティン(1775~1817)の時代とほとんど変わっていない。

父を亡くし家長となったルイスは妹たちをを養い嫁がせなければならないが、妹の一人に狂気の兆候が。

 

若いころ、ジェイン・オースティンの『高慢と偏見』がなぜ人気があるのかさっぱりわからなかった、子供のころから家柄に見合った男性と結婚することだけが目的で自分を磨きアピールをする、そういう女性のどこに魅力があるのか、と思っていたが。

今はよくわかる、そういう生き方しかできなければそうするしかない。そしてそれは過去のはなしではなく今も続いている、日本だと皇室や政治家の家系とか、映画『あの子は貴族』で描かれていたような、そしてそれをよしとする人は今も一定数いらっしゃる。

結婚が家制度とともにあるなら今もその考えは力を持っている、そして以前より回帰しているように思う。

(そうなると男も女も、結婚なんてしたくないな~なるべく先延ばしを、という結果の今の日本社会がわかるように思う)

 

話がそれたけれど、ルイスはこの時代な~んと10歳も年上の身分違いの女性と愛で結ばれる、これは当時の常識を逸脱したルイスならでは、でもその幸せは長くは続かない。

考えてみればウェイン家で一番幸せな人生を送ったのはルイスだろう、実社会を生き抜く力はなかったけれど変人ゆえにそれを超越して生きることができた。

妻が亡くなっても二人の愛猫ピーターが彼を支えてくれた、でも猫の命は短い、ピーターが亡くなった時は本当に悲しかった。

 

ルイスには絵を描く才能はあったけれど生き抜く才能はなかった、エルヴィス・プレスリーの人生を彷彿させるところもある、才能はあっても世間を知らず搾取されている、才能とは偏っているからこその才能かもわからないので、なんとなくこういうものかもしれないと納得させられる。

 

変人で育ちが良く才能があるけれど偏っている、そういう人物を演じるカンバーバッチさんはとても魅力的です。

一番しっかり者の妹を演じたアンドレア・ライズボローさんんもとても良かった、時代が違ったら兄のマネージメントをしてしっかり生きて行けたのに、不幸な人が多い時代だったんだな、でもルイスのように打ち破る蛮勇がなかったのねとも思います。

 

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