「20センチュリー・ウーマン」「人生はビギナーズ」のマイク・ミルズ監督が、ホアキン・フェニックスを主演に、突然始まった共同生活に戸惑いながらも歩み寄っていく主人公と甥っ子の日々を、美しいモノクロームの映像とともに描いたヒューマンドラマ。ニューヨークでひとり暮らしをしていたラジオジャーナリストのジョニーは、妹から頼まれて9歳の甥ジェシーの面倒を数日間みることになり、ロサンゼルスの妹の家で甥っ子との共同生活が始まる。好奇心旺盛なジェシーは、疑問に思うことを次々とストレートに投げかけてきてジョニーを困らせるが、その一方でジョニーの仕事や録音機材にも興味を示してくる。それをきっかけに次第に距離を縮めていく2人。仕事のためニューヨークに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めるが……。「ジョーカー」での怪演でアカデミー主演男優賞を受賞したフェニックスが、一転して子どもに振り回される役どころを軽やかに演じた。ジェシー役は新星ウッディ・ノーマン。

2021年製作/108分/G/アメリカ
原題:C'mon C'mon            映画.comより転載

 

 

 

ホアキン・フェニックス目当てで鑑賞、でもホアキンではなく(もちろんホアキンも良い)違う魅力のほうが勝っていた。

 

『20センチュリーウーマン』の監督作だとあとで知った。

以前記事にしていました。

”15歳は未成年であっても、子ども扱いはしない、年齢は違っても対等のお付き合いをする、重要です、日本人には苦手なことかもしれません。 こういう子どもとの付き合い方は日本では”甘やかしている”といわれます。 私も言われました・・・・でも普通に大人になって巣立っていきました。 対等の人間として、信頼関係を結ぶ、どんな人間関係にも大事なことです。

ハイセンスな映像、気の利いたセリフ、おしゃれであっても軽くはない、絶妙なバランスの映画”

上記のようなレビュー内容でした。

 

そして『カモン カモン』も内容に対してはほぼ同じ感想になります。

主演がアネット・ベニングからホアキン・フェニックスへ15歳の少年が9歳に替わる、背景も異なりますがテイストはほぼ同じ。

ぎくしゃくした大人と子供の関係が手探りの中で距離を縮め愛情やら信頼やらで結ばれていく、それは永遠でなくても良い、一瞬こそが永遠につながる。

そんな二人の関係の背後に彼ら家族の抱えている問題が見えてきて、簡単なことではないけれどみんなそれぞれが良かれと思う方向に生きていくだろうことが感じられる・・・・大きなストーリーはないので起伏に乏しいのですが、現代に生きる子供たちの生の声が聞けるのが良い。

ホアキンの仕事がラジオジャーナリストでNYを拠点に各地で少年、少女たちにインタビューするのが今の仕事、未来は?自分の周りでは?みたいなことを子供たちが答える(台本があるわけではなく自分の言葉で答えていると思う)、そんなシーンがドキュメンタリータッチで描かれている、そこには子供らしい意見もあるけれど、しっかりと未来をとらえていると思うことも多い、ここにこの映画のメッセージの一つ”私たちの未来は?”があるのだろう。

 

やや退屈に感じるストーリーなのだけれど、そこを補って余りあるものがある。

先ずキャストが良い、ホアキン・フェニックスの存在が薄くなるような少年の魅力にキュンキュンします。

もちろんホアキンも良し。

 

そしてクラシックを取り入れた音楽が新鮮で格調高い。

 

でも、何よりもすばらしいのはカメラです。

手がけたのは『女王陛下のお気に入り』で超広角&魚眼レンズを駆使した見事な映像を楽しませてくれたロビー・ライアン、今回はモノクロですが、その構図、光と影、空気まで感じさせる映像がすばらしいです。そこに被さるドビュッシーの「月の光」、そこに在るホアキンと少年が観客に至福の一瞬を届けてくれます。