エリック・ロメール監督による「喜劇と格言劇」シリーズの第3作。海辺の別荘で6人の男女が織り成す恋愛模様を、思春期の少女ポーリーヌの目を通して描く。15歳の少女ポーリーヌは、年の離れた従姉マリオンと一緒にノルマンディの別荘へバカンスにやって来る。海辺へ出かけた2人は、マリオンの元恋人ピエールと出会う。ピエールは現在もマリオンへの思いを引きずっていたが、マリオンはピエールの知人であるプレイボーイのアンリに恋をしてしまう。一方、ポーリーヌは海辺でウィンドサーフィンをしていた少年シルバンと親しくなるが……。ベルリン国際映画祭で銀熊賞と国際批評家連盟賞を受賞した。

1983年製作/91分/フランス
原題:Pauline a la plage

 

 

 

 

エリック・ロメール監督の非日常的避暑地バカンスもの。
今回の避暑地はノルマンディー、ブックエンド方式と言うのか、映画は避暑地の別荘の扉の前に車が到着から始まり、数日ののち扉の前で車に乗り込みひと夏のバカンスが終わる、その間の出来事。年上のセクシーな美女マリオンと15歳の従妹ポーリーヌ、ポーリーヌの上着がセーラ―服なのがいかにもジュニアでおしゃれで新鮮。
ひと夏が過ぎて少女は一歩大人に近づいた、いえいえ彼女が一番大人だった、次に出会うとき彼女は絶対素敵な女に成長しているだろう・・・そんなお話し。
 

とにかく会話量がすごい、うんざりするほど自己中心の愛だの恋だのを語りつくす。
マリオンの自己正当化する恋愛模様も大概だが、彼女に片思いのピエールの独りよがりにもイライラが募る。とにかく自分のことしか眼中にないので現状を冷静に判断できない大人たちが痛い。
超絶セクシーなマリオンは遊び人風おやじアンリに夢中、アンリに遊ばれているのに気が付かない、そのアンリの言い分がなにやらわからないが説得力がある、女とみればとりあえず言い寄って見るという姿勢が可笑しい、本気じゃなくてもちょっかいは出すという。
彼らの身勝手な言葉の数々を冷静に自分の言葉として判断し行動するポーリーヌの年齢相応の恋が新鮮。
ポーリーヌの恋や言動と対比させ大人たちの愚かさや滑稽さをちょっとの皮肉を込めてセンス良く楽しませてくれる。
やはりエリック・ロメールさんはただ者ではありません。

フランス映画の女性たちは一筋縄ではいかない方が多い、例えば大女優ジャンヌ・モローさんに太刀打ちできる日本人男性ってあまりいないのでは。
美しいカトリーヌ・ドヌーヴさんだって怖い毒がありそう、彼女たちは本音で生きている、本当のことを言うだけの自信がある。
この映画のポーリーヌは15歳にして自己確立している。
本当のことを言える大人の女。
建前で付き合ったって面白いことは何にもないよ、ホントのこと言えば?って思うんだけど、嫌われちゃってるかもね。

この映画、ロメール監督の「喜劇と格言シリーズ」の一本、映画冒頭スクリーンに格言が。
”言葉多すぎるはおのれを傷つけるものなり”

あ、いたたたってことで(笑)

1983年の作、でもとても新鮮、会話のすべて、ファッションのすべて、マリオンの水着姿はとっても美しくセクシー、15歳のまだ少女体型のポーリーヌのビキニが超小っちゃくて健康美が素敵。
避暑地の瑞々しい緑したたる映像、庭のこぼれるようなアジサイの花。
風景に溶け込むようなマリオンの金髪、聡明なポーリーヌの大人になる寸前の少女の美しさ。
ロメールやトリュフォーの作品を数多く手掛けているネストール・アルメンドロスのカメラが良い。
この方、テレンス・マリック監督『天国の日々』でアカデミー撮影賞受賞、なるほどと納得の映像美でした。

 

でも、一番の見所はポーリーヌの魅力的な”顔”です。

 

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