バンド・デシネ作家でアニメーターのシルバン・ショメによる長編初監督作品で、誘拐された孫の救出のため奔走する祖母の姿をユーモアたっぷりに描いたアニメーション映画。セリフを極力排し、ジャズをはじめとした軽快な音楽にのせてデフォルメされたキャラクターが織りなす冒険を描き、フランス映画として初めてアカデミー長編アニメーション部門にノミネートされるなど世界的に高い評価を受けた一作。内気で孤独な孫のシャンピオンが、自転車に興味を持っていることを知ったおばあちゃん。シャンピオンは自転車選手になるため、おばあちゃんと二人三脚で特訓に励み、ついに世界最高峰の自転車レース「ツール・ド・フランス」に出場するまでに成長する。ところがレースの途中に事件が起こり、シャンピオンが何者かに誘拐されてしまう。おばあちゃんは誘拐された孫を助けるため、愛犬ブルーノとともに冒険に出る。伝説の三つ子ミュージシャンの老婆たちの協力と、これまでに培った人生経験や知恵やユーモアを武器に、数々の難局を潜り抜けていく。アカデミー賞では長編アニメーション賞のほか、主題歌賞にもノミネートされた。

2002年製作/80分/G/フランス・ベルギー・カナダ合作
原題:Les triplettes de Belleville

 

 

 

傑作に出会えた幸せ
ノスタルジックでシックな色調、ダイナミックな構図。
僅かな台詞、犬が吠える以外はほとんど無声映画のよう。

三つ子のジャズ歌手が歌い、ジャンゴ・ラインハルトが超絶技巧でギターを弾く、ジョセフィン・ベイカーのデフォルメされたダンス、ちょっと斜め目線からのフレッド・アステア、彼らの舞台で華々しく幕が開く(早くもブラックテイストが見え隠れ)。

時は過ぎ、おばあちゃんと幸せに(寂しくかも)暮らすシャンピオン、孤独な孫のためおばあちゃんはある日子犬をもらってくる、大喜びのシャンピオンだが何かが足りない、おばあちゃんはシャンピオンへの愛で気が付く、そうだこの子は自転車に夢中なんだと三輪車を買い与える、シャンピオンの喜びようが凄い。
ここまでが布石の部分。
シャンピオンは今でいう自転車ヲタク、おばあちゃんと二人三脚で遂にツール・ド・フランスに出場することになる。
そこで事件が起きる、孫の一大事、おばあちゃん八面六臂の大活躍。

絵の構図もダイナミック、大きな船とおばあちゃんとブルーノ(犬)を乗せた小舟の対比、荒れた海の表現の美しさ。
行きついた先の大都市ベルヴィルの絵が素晴らしい、ペン画の魅力が出色。
老いた三つ子歌手が再登場、おばあちゃんとセッション、ムムム凄いアイデアです。中盤から盛り上がる三つ子も巻き込んでのストーリー展開も斜め上を行っていてワクワクしました。
そして・・・・フランス映画独特の辛辣な目線が見え隠れ、人生の機微を描く大人の映画たらしめています。

何よりも音楽が素晴らしい、ジプシージャズという感じですが、おーーーー!グレングールドじゃない?ジャズバッハよ、スウィング感がごきげん、サントラが欲しいです♪
色彩、構図、音楽最高♪、DVDも欲しいです。