カンヌ国際映画祭ある視点部門で審査員賞を受賞した「淵に立つ」の深田晃司監督が、同作でもタッグを組んだ筒井真理子を再び主演に迎え、不条理な現実に巻き込まれたひとりの善良な女性の絶望と希望を描いたサスペンス。周囲からの信頼も厚い訪問看護師の市子は、1年ほど前から看護に通っている大石家の長女・基子に、介護福祉士になるための勉強を見てやっていた。ニートだった基子は気の許せる唯一無二の存在として市子を密かに慕っていたが、基子から市子への思いは憧れ以上の感情へと変化していった。ある日、基子の妹・サキが失踪する。1週間後にサキは無事に保護されるが、誘拐犯として逮捕されたのは意外な人物だった。この誘拐事件への関与を疑われたことを契機に市子の日常は一変。これまで築きあげてきた生活が崩壊した市子は、理不尽な状況へと追い込まれていく。主人公・市子役を筒井が演じるほか、市川実日子、池松壮亮、吹越満らが脇を固める。                                                                                           映画.comより
 
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何を言いたいのかな~。
よこがお、この映画に「よこがお」というタイトルはふさわしいのか?
映画を観終わって疑問に思った。
深田監督は女優筒井真理子さんのよこがおにほれ込んでいるらしい、よこがおというのは片側しか見えない、もう片側がある二面性を表現したいのだろうか。
人生のすべてを理不尽に奪われた市子が”リサ”となって復讐を企てる。
市子とリサの場面が唐突に切り替わる、かといって混乱するわけではなく巧みな演出だと思う。
しかし、そこには二面性があるわけではない。

私は深田監督には過大な期待を抱いている。
『淵に立つ』は近年屈指の怪作だった、いや、傑作だろう。
人の心の奥底に潜む泡立つドロドロを噴出させた怖い映画だった、理不尽、不条理、サクリファイスという概念。

本作のキャストから考えてもそう外れはないだろうと期待していた。
普通のレベルから見て出来が悪いわけではない、しかし何とも言えない浅さを感じる。
誰の行動にも説得力を感じない、吹き出す毒もない。
基子(市川実日子さん)の行動に毒があったのだろうか?愛憎紙一重という”理由”が描けていない、だから毒も感じられない、いろんなものが唐突すぎる。
極力説明を排した表現はよいとは思うけれど、説得力が感じられなければ如何ともしがたい。
そしてリサの復讐・・・通俗的すぎやしませんか?しかもあのやり方って?
私が観たかったものはほとんどなかった。

しかし、筒井真理子さんは巧い女優だ、その表情も微妙な心の動きをスリリングに表現している、そしておばさんですよね~、でもフルヌードが美しい。
『淵に立つ』でも思ったのだけれど、体全体で表す絶望感とか、訳の分からない動きが絶妙で、ムムム、なにこれ?と思ってしまいます。

本作は深田監督の映画としては私には残念でした。
でも、いつもいつも問題作を作れるわけではない、この映画にも期待して待っていても良い何かがあるような気がした。
次作に期待します。