捨て猫たちと共存した不思議な”町” | ま、いっか。のブログ

ま、いっか。のブログ

「ま、いっか」で人生の悟りを開いた男の、
呑気なスローライフブログ!

もう20年前のこと。

 

東京の府中本町駅の近くにある、東芝府中事業所でエンジニアとして働いていたことがあります。敷地面積がとにかく広くて、ひとつの町ほどの大きさもありました。

 

仕事で良い思い出は全くないのですが(笑)、忘れられないことが一つあります。

この巨大な事業所には当時、たくさん野良猫が住み着いていたんです。そうですね、数でいえば20~30匹ぐらいはいたと思う。天気の良い日なんかはよく建屋の側でお母さん猫と子猫が一緒に日向ぼっこしていたのを覚えてます。通常なら追い出されるところでしょうが、社員の方も割とゆるいというか、猫好きな方も多くて、仕事疲れの後の癒し相手にもなってくれたり。その”町”では社員と猫が共存する、本当に不思議な空間のようでした。

 

でも、ある日事件が起きました。

 

敷地内で猫に餌やりをしていた社員を目撃した、ある動物愛護団体の方(自称なので本当かはわかりません)が、エサの内容について事業所にある提案を申し込んできたのです。餌やりという行為ではなく、餌の内容についてだったと記憶してます。もうちょっといいものを食べさせてあげて、みたいな感じだったと思います。この方にとってはおそらく悪意ではなく、動物に対する善意の気持ちがあってのことだったのでしょうが、そこから招かれた結末は驚くものでした。

 

この愛護団体からの連絡が入った翌週には、事業所内を住処にしていたすべての猫が駆除されたのです。

子猫を含め、一匹残らず処分されました。

 

親猫に寄り添って日向ぼっこしていた子猫たちが、社員の方たちと一緒になって事業所内の横断歩道を歩いて渡っていた光景が今でも思い起こされます。まあ、本来なら事業所内に猫がいることがおかしいですし、ここまで猫が増えさせてしまった側にも責任があるのでしょうが、ここまで鬼になれるところを見て東芝は怖いところだと思いました。

 

それからしばらくして、その拠点を離れましたが、東芝と言えば、いつもその猫たちのことが浮かんできます。

良かれと思って進言することが、必ずしも正の結果を生むわけではない。時には真逆の結果を招くことがあるのだ、と強く学んだ出来事でした。余計なことは言わない方がいい。