第8幕の6 | 百火繚乱

百火繚乱

特撮大好きです。変身する前も後も、変身した中の人も、声の人も好きです。
ゴーカイジャー、シンケンジャー、仮面ライダー中心かな。
シンケンジャーの小説、殿様で恋愛小説も書いてます。

電車を降りてからも、二人は黙ったままで、屋敷の門が見えて、栞は幸せな時が終わった様な気がした。黒子に門で出迎えられ、玄関には彦間が待っていた。
「ただいま帰りました。彦間殿」
努めていつもの栞に戻る。
「お帰りなさいませ。楽しかったですか?」
彦間が笑顔で迎える。
「はい、とても」
「では、次はジイの番ですな」
彦間が先に立って座敷へ向かう。何のことだろうと思って付いていく栞は、座敷に入って息をのんだ。
「おめでとうございます、栞殿」
「誕生日おめでとう、栞」
パーティーの準備がしてあり、彦間と丈瑠からお祝いを言われる。
「今日は私の誕生日ですか?」
「忘れてたのか?」
丈瑠が笑いながら聞く。栞は誕生日など、今まで祝ってもらったことなどなかった。ハナが、いつもより大きなケーキを焼いてくれるくらいで。だから、自分の誕生日を特別な日だと思ったこともなかった。
「初めてです、誕生日を祝ってもらえるなんて」
呆然とした様に言う栞の言葉は嘘ではないのだろう。今までの話から、丈瑠がそう思う。
「私は、今日が、今までで一番幸せです」
栞が堪えきれなくなって泣き出す。丈瑠が栞の頭を撫でると、栞が丈瑠のシャツを掴んで、肩に額を付ける。サプライズパーティーがあまりにも効いたのか、ずっと一緒にいたので気が緩んだのか、丈瑠は少し驚いたが、それでも頭を撫でて肩を貸してやった。
 栞が泣きやんで、パーティーは楽しく始まった。
「このために丈瑠様は私を遊園地へ連れて行ってくださったのですか?」
栞が突然のデートの訳にようやく気付く。嬉しかった分、ちょっと複雑だ。
「ジイが頼んだのです。がっかりですか?」
彦間が栞の心を読む。
「いえ、がっかりした訳では」
と言いながら、がっかりした様な顔をする。
「遊園地はいかがでしたか?」
彦間が意味ありげに丈瑠を見て、丈瑠が顔を顰めて横を向く。
「やっぱり丈瑠様、遊園地相当苦手だったんですね」
栞がその表情に気が付いて、今度は泣きそうな顔になり、彦間が慌てて宥める。
「いやいや、子供の頃の話です。いかがでしたか、殿」
「以外と大丈夫だった」
丈瑠が横を向いたまま答え、彦間がほらという様に栞を見る。
「そう言えば、栞殿、お化け屋敷はどうでしたかな」
丈瑠が、そうだったという顔をする。
「とても怖かったです」
栞がことの次第を話すと、彦間が大笑いする。
「殿、苦手が克服できてよかったですな」
丈瑠は、もう勝手にしろと言わんばかりに横を向いて舌打ちした。




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