第4幕の4 | 百火繚乱

百火繚乱

特撮大好きです。変身する前も後も、変身した中の人も、声の人も好きです。
ゴーカイジャー、シンケンジャー、仮面ライダー中心かな。
シンケンジャーの小説、殿様で恋愛小説も書いてます。


 丹波が待っていたのは、いつもの座敷ではなく、奥の広い座敷だった。いつもの座敷では、上座がはっきりしすぎて、座る場所に困ったのだろう。丈瑠と彦間も一緒にいる。
「話はお済みですか?」
彦間がほっとしたように聞く。丹波の相手をするのは大変だったのかもしれない。
「ああ、終わった。栞が突然いなくなったから、話し相手がいなくて、文句を言いに来ただけだ」
用意された席に着きながら答える。栞も手前の方に黙って座った。
「栞はここで、黒子の仕事をしているそうだな」
薫が丈瑠に聞き、丹波が驚いた声を上げる。
「何ですと?栞殿に黒子ですと?御当主、どういうおつもりですか、栞殿は」
「丹波!」
薫が丹波を遮る。
「しかし、姫」
「よいのです、丹波。私がそうお頼みしました」
栞がやんわりと仲裁する。
「栞殿」
丹波を笑顔で簡単にあしらってしまうとは、栞はやはりただ者ではなさそうだ。
「栞は役に立つだろう。何でも相手になるから退屈しない。剣の相手もさせたか?」
薫が話を変えるように丈瑠に聞き、丈瑠が頷く。
「勝った気にはならないだろう」
薫が意味ありげに微笑む。栞が隙を突かずに負ける事を言っているのだろうと、丈瑠も苦笑した。
「日下部、栞に渡したい物がある。明日、黒子を一人やってくれ」
「は、承知しました。して、何を?」
「それは内緒だ」
薫が楽しそうに笑うと、立ち上がる。
「用は済んだ。帰るぞ丹波」
薫がさっさと歩き出し、丹波が急いで後を付いていき、一同も見送るために玄関へ行く。
「丈瑠達はここでよい。日下部と明日の打ち合わせがある」
彦間が頷いて、薫のそばへ行く。丈瑠が奥へ戻り、栞も残ると打ち合わせに支障が出るので、丈瑠に付いていく。 
 その姿が見えなくなるのを確認してから薫が丹波を追い払って、彦間に向き直った。
「明日、荷物を取りに来た時、こちらの者と黒子を入れ替える」
薫の思わぬ言葉に、彦間が首を傾げる。
「黒子をですか?姫、それは何故」
「こちらの事は耳に入っておるか?」
彦間が頷く。
「殿の当主の件で物議があると」
薫も頷く。
「それに、栞の父親が関わっておる事も?」
「はあ」
「なら話が早いな。こちらの黒子は栞の監視だ」
「栞殿のでございますか?」
「ああ、栞は今のところ味方だ。だが、父親が栞を通じて何かを仕掛けてこぬとも限らぬ」
栞のシナリオ通りに彦間に伝えていく。が、意外な返事が返ってきた。
「栞殿は、殿をお慕いしているように見受けられますが」
薫が驚いた顔をする。
「まさか、栞はそのような感情は持ち合わせておらぬ。栞も否定していた」
彦間が笑顔になる。
「見ていれば分かります。気付かぬのは殿くらいで。まさか栞殿ご自身もお気付きでなかったとは」
薫が考えるような顔になる。さっき丈瑠の話をしていた栞は何か違っていた。それでもまだ信じられない。
「栞はいつも計算尽くのポーカーフェイスだ。感情など決して見せない」
「殿に対しては、分かりやすいかと」
笑顔の彦間に、薫が息をついた。
「まあ、こちらの者を送るのは念のためだ。栞を警戒する必要はない。ここの黒子は、折を見て返す。それからここを巻き込まないためにしばらく連絡はしない。こちらの事は、何とか話し合いを進めてみるから心配するな。では、明日頼んだ」
彦間が頭を下げて、薫は一方的に指示すると帰っていった。






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