「且且」なんて文字を見て、読み方が分かる人はどれだけいるだろうか。

答えをいうと、[かつがつ] と読む。

定義はいくつかあるが、一般的なのは "辛うじて。やっと" という意味での用法ではないだろうか (→ 広辞苑無料検索 [かつがつ])。

上に引用した辞書には記してないが、[かつかつ] という言い方もあるような気がする。

いずれにせよ、そういう ギリギリ といったニュアンスだ。


ある英文の記事のタイトルとリードに "on a shoestring" という表現が出ていた。

 Americans retire on a shoestring

 ([ほとんどの] 米国人は、ぎりぎりの [老後資金しかない] 状態で退職しています

on a shoestring は "靴ひもの上で" と読めるが、まさかそんな意味ではあるまい。辞書を見ると

 With very limited financial means

 (非常に限られた財政的手段で

とある (→ Dictionary.com [on a shoestring])。

英語のその表現の由来については、はっきりしたことは分からないみたいだが、日本語の "かつがつ" という表現に重なるとは思う ("かつがつ" だって、変な言い方かもしれないけれど)。


日本でも、老後の資金としていくら必要だとか、そんなことが話題になったことがあるのを思い出した。

米国人だって楽ではないのだし、みんなそうなんだと言われても、だからといって安心しろというわけにもいくまいけれど。


◎ 引用した英文の出典 (USA Today, 2024-03-14)
  Looking to retire on a shoestring budget? Priciest states where you'll need at least $1M
  → https://www.usatoday.com/story/money/2024/03/14/16-states-where-retirement-costs-1m/72930077007/



そのタイトルに $1M とあるが、ひょっとして、それって 1 million dollers のこと? 日本円にすると、およそ1億5千万円ってことになるけど ・・・


* その表現の由来ははっきりしないそうだが、靴紐の上は広くない。幅がせまい。虫なんかは渡っていけるかもしれないが、かつがつ通れるというくらいだろう。そんな連想をした。それと、もう1つ、昔の靴紐の素材はそれほど丈夫なものではなかったかもしれない。古くなったり乱暴な力が加わったりすると、切れてしまうということがあったのではあるまいか。だから靴紐を買う。そんなものを売っても大して儲けはないが、それでも収入がないよりはまし。何しろ、靴紐というのは2本1組だから、売れる時には2本分が売れる。でも、生活はかつがつである。そして、私の連想は、かつての日本のゴム紐売りに飛んだ。押し売りの代名詞みたいなものだが ・・・

 -- おう、久しぶりだな。どうだい、景気は?
 -- 景気? 刑期とか計器のことじゃあるめえな?
 -- あたりめえだ。
 -- そうだなあ、まあ、かつがつ何とか食えてらあ。
 -- 今は何やってんだ?
 -- それが ・・・ まあ、紐ってところかな。
 -- 何、紐だ? ゴム紐か?
 -- 馬鹿を言うな。紐っちゃ、あれだ。
 -- 何だって? おめえが紐か? その顔でか?
 -- うるせえ。うちの稼ぎ頭は女房なんだよっ (怒)