DEADLINE by WALTER L. KLEINE
ウォルター・L・クライン 作「デッドライン」(6)
 [(5) のつづき]

、残骸をより分けている時に、ヘレンは1度だけ口を開いた。

「溶接機の残骸があったわ。使えるわね」 そんなことは分かっている。半マイル離れていても、水蒸気が立ち昇っているのが見えるだろう。

トラクターに戻ると、ヘレンはヘルメットを脱ぎ、あからさまにそれらしい動作をしたが、私ほどに当惑してないのは明らかで -- ただ、さりげなくキスをしただけだった。

「まだ動けそう。ドライブしてくるわね」。自分のヘルメットをかぶると、エアロックの方に降りていく。

私はヘルメットを脱ぎ、宇宙服を脱ぎかけたが、それを止めてフロント・ウィンドーのところに行った。ヘレンが運転席の横をよじ登って、よじれた屋根に私が開けた穴から出て行く時に、幾分かの優雅さを見せるのではあるまいかと期待したのだ。しかし、私は宇宙服を着て優雅に動くことの出来る者を知らない。

メアリーを除いては。

ヘレンは優雅ではなかった。少しも。

私はヘレンがエンジンを起動させ、慎重に温め、計器類を何度も点検するのを見ていた。反応の大きさと重量を触媒的機能で落とすようにされていたにせよ、水銀蒸気原子の閉回路に大した影響はない。それに、仮に問題があったとしても、打つ手なしだ。予備の水銀などないのだから。

15分くらい経ってから、私はドーザーを点検しに出かけた。乗り込み用のトレイラーを引くための牽引バーは問題ない。トレーラーさえあれば ・・・

私はしばらくの間眺めていて、それから宇宙服を脱ぎ、そして自分の寝床に潜り込んだ。

やはり眠れなかった。


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