『子どものためのイソップ説話集』 (41) THE WILD BOAR AND THE FOX


 猪と狐

イノシシが木の幹に牙を擦 (こす) りつけて研いでいるところに、キツネが来合わせた。

キツネはいつも、隣人を笑いものにする機会が来るのを狙っている。そこで、どこかに見えない敵が潜 (ひそ) んでいるかのように、大げさに周囲を見回してみた。ところが、イノシシは、まるで気にする様子がない。

「どうしてそんなことをしてるんだい?」 たまりかねたキツネが、にやにや笑いをしながら聞いた。「何にも危険はなさそうに見えるがね」

「そうさ」 とイノシシは答えた、「だけど、本当に危険が迫った時には、こんなことをしている余裕はないからな。その時のために、いつでも使える状態にしておかなきゃならない。さもないと、肝心な時に役に立たないだろ」


 - 戦いに備えることが平和を保証する。



日本でも言いますな、備えあれば愁いなし って。