太田忠司 『奇談蒐集家』 (東京創元社、2008)、読了した。

6つのエピソードが似た形式で物語られる。それぞれ独立した話として読んでも、
それはそれで面白い読み物として読めるだろう。

だが、7番目の 「すべては奇談のために」 を読んで、アッと思うことになる。

あの最後の一章があることで、それまで読んできたものが focus する。

面白い趣向である。

ただ、その最後の章の中に出てくる矢来なる男の著書からの引用文に、
字遣いのおかしな部分がある。戦前の書物ということにしてあるので、
いわゆる旧仮名遣いにしてあるのだが、

 「今こうして思ひ返して」

という部分の 「こうして」 は、「かうして」 とすべきだろう。また、

 「シャロック・ホオムズといったところ」

は、「いつたところ」 とすべきだろう。作者のミスというより、この本の
校正者の見落としと言うべきものだろう。

オムニバス形式の映画にでもしたら面白い作品かもしれない。


奇談蒐集家 (創元クライム・クラブ)/太田 忠司

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