りあかるも * 詩文と日常の発露 *-090411_1312~01.JPG
 


桜が咲くと思い出す人がいる。
別れたあと、自転車で走りながら帰る道すがら、桜が散って私の頬を撫でた時、漸く私は別れの哀しみというものを知った。
遅すぎた感情だった。
私の感情はいつも沈思黙考していて、だから私はいつだって遅すぎる感情に、変な場所で足止めされてしまう。

あっさりと別れてしまったあの人。
忘れ形見のメモみたいな手紙が、たったひとつの思い出のよすが。
もっと先に、哀しめていられたなら、どんなにかよかっただろう。


月日が経ち、桜を見て思い出す人が、ひとりずつ増えていくのだろうと思う。
そのたびに別れては遅すぎる哀しみに打ちひしがれながらも、私は桜を愛でる。
たくさんの淡い思い出と共に愛でる。


今年の桜は、もうすぐ散ってしまうのだろう。
来年もまた咲く為に。