祈る乙女 桜貝を爪にして 陶磁器を肌にし て 生糸を御櫛にして 紺瑠璃を瞳にして 水蜜桃を唇にして それから あとの美しいもので 形作られた乙女は 手を組み祈りを宿らせて 一度も笑うことがない 久遠の前かその後に 瞳を揺らしたことはあっても それは時計も忘れてしまった出来事 乙女は笑うことがない 祈りが届いた暁には 苦渋に満ちたその顔を ぎこちなく動かすことも あるだろうけれど 乙女は一度も笑うことがない 祈りは祈りでしかないのだから