母から、「これは凄く良いから!」と勧められてたものの、時代小説だからという理由で読んでいなかった一冊の本。それが、今回紹介する「卵のふわふわ」です。


かんたんなあらすじ。

時は江戸。夫との心の擦れ違いに悩むのぶに、いつも舅の中右衛門は美味しいものをねだりながら、のぶをたすけてくれる。一風変わった江戸を彩る食べ物を巡りながら、人の心の温かさを描いた作品。


この、「卵のふわふわ」。

読んでいて、無性に泣けました。時代小説とかなんとか、関係ない。心が温かくなって、でも切なくて、素敵なお話です。

のぶ、という女性の視線から物語は語られるので、女性の受けはいいと思いますが、男性的にはどうなのかな。正一郎の気持ちにうんうんと頷けたなら、男性でも読めると思うのですが。

のぶの、狭い世界。そこから語られる断片的な、主観の入った世界。それが、はらりはらりとめくれ上がりながら、あの時の正一郎はこんな気持ちだったんだ、とあとになって分かる。その瞬間が、私はたまらなく愛おしかったです。

正一郎の、不器用な気持ち。その伏線に気がついて、人の想い方を考えました。


文庫本ですが、表紙ののぶと正一郎。

まさにふたりは、こんな感じだったのですね。とても作品にあった表紙だと思います。


じんわりと心が暖かくなる、「卵のふわふわ」。

読んでみて、私も卵のふわふわを食べてみたくなりました。



卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし (講談社文庫)/宇江佐 真理

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