大学に入ってバイトを始めてから、水が美味しいと思うようになった。
むわっとする厨房のなか、背に腕にうなじに脚にこめかみに汗を感じて、それでも笑顔で働いて。足もくたくた、手にも火傷、声も嗄れる。
そこに、冷たい水をぐいぐいっと飲み干すと、生き返るような心地になった。ま、熱中症のこともあるから、あながち比喩ではないんだけれど。
人間の約七割が水分で出来てるって、こういうことなんだなあってその時に感じた。
今夏、私の住む地方では慈雨に恵まれない。
雲はあんなに浮かんでいるのに。
その水瓶を傾けて、甘雨を垂らしてくれないかしら。
