夕映えが体に染みこむ

血がかよっている筈の手が

血脈をなくしていく

この腕に行き来する命は

堕落する陽の影です

きっと白い肌を断てば

零れるのは黄昏ばかり

寂然が鴉の形をして

空に問いかけることといえば


 あの人間の形をしてゐる

 異形は誰の命だい?


夜を摘んで煎じれば

紺碧の蜜が手を汚す

真っ白な病人は

更に青くなっていく

これは負った罪状です

薄皮一枚剥がしてみれば

血肉の他に何かが見える

恐悸が星の姿となって

空に唄うことといえば


 あの異端が被つた命は

 一体誰の持ち物だつた?



五月蝿い鴉が消え

気取った星が去る頃

じっとしていた空が

口を開いていうことといえば


 誰も己の命を知らない

 在るのは名のない顔ばかり