僕の左胸の空洞には

昔 花が咲いていたらしい

見たことも聞いたこともない

僕だけの花だったらしい



 枯れたんじゃない

 摘み取って捧げた

 それだけのこと



君の右頬の空洞には

今 鳥が住んでいるらしい

両目のない僕には見えない

綺麗な鳥らしい



 歌声は聞こえない

 叫び声が鼓膜を叩く

 それだけのこと



互い違いの僕らは

右腕と左腕を伸ばして

その空洞を掴む

両目のない僕でも

両耳のない君でも

分かるものを掴んで



 それが命だ

 決して離すな と