言いづらくて、聞きづらい話 | MaL Blog

MaL Blog

http://malbreath.com

 

※今回はミュージシャンのお金の話です。現実のお話なんで読みたくない人は読まないでください。
また読むなら必ず最後まで読んでください。

#############

ネット見てたら美味しそうな飲食店があったんですよ。と言っても僕はその店でお金払って食べたことがないんですが。
ちょうど僕が企画するパーティーで、食事をテーマにしてるものがあったんで早速お店の人に交渉しました。

条件は以下
・パーティーで自慢の料理を提供してほしい。
・お客さんには無料と伝えているのでお代はお支払いできない。
・食材費やその日の人件費や料理の運搬費もお店が捻出して欲しい。
・本当に美味しければ幾らか入ると思うので募金箱を設置して、そこに入ったお金はお店に全額渡します。
・消防法や色々な制限があるんで、こちらの用意した設備だけでやってもらうけど、同じクオリティの料理を出して欲しい。

料理人って、元々はお客さんに美味しい食事を提供したいっていう信念があるはずなんで、お金云々じゃなくて協力してくれると思うんですよ。お店の宣伝にもなりますよね?
募金箱の金額が食材費に届けば損はないわけだから、そこは料理人の腕の見せ所です。
僕が自分のお金を出すのはなんか違うと思うんですよね。だってそれやったら僕はプロの企画者として損をするじゃないですか。そんなお金ありませんし。
僕がやりたいのは料理の素晴らしさをお客さんにお届けすることなんです。それって大事なことじゃないですか?わかって欲しい。
今回のパーティーがうまくいけば、次回はもっと有名な料理人を呼ぶつもりですが、ひとまずはこの形でやりたいんで協力して欲しいんですよね。

もし断られてしまうなら僕としてはやはりその店にはがっかりしますね。やはり金なのかと。




############


どう思われましたか?
信じられないようですが、これが僕らミュージシャンに時折来るオファーの形です。
わかりやすく飲食店に例えましたが、ほぼこういうことです。

決して少なくありません。

絶対にお金を払いたいと思わせられないミュージシャンが悪いですか?


ネットで僕を見つけてくれたことには感謝します。あなたの大事なイベントに僕をと思ってくれたことも非常にありがたいです。可能であればお客さんにも喜んで欲しいです。
ただ、どんなに思いがあっても受けられないことの方が多いです。
何故なら僕にしっかりと報酬を払ってくれるイベンターや会社やお客様がちゃんといるからです。

何故リスクを全て出演者が被るのか。
プロのイベンターであるというのであれば、必要経費を確保して、その上でリスクヘッジして、観客や出演者が本当の意味で気持ちよくやれてイベンターに感謝できるようにすべきなのではないかと。
そういう場を企画する人を「イベンター」と呼ぶんじゃないでしょうか。

僕らは無料だろうが、安かろうが一切手を抜きません。それが自分の名前をあなたの大切な企画の出演者の欄に出す責任だからです。

お互いが自分の責任を一緒になって果たす場を「仕事」と呼ぶのだと思っています。
もちろん金額関係なく、どうしても参加したくなるような場を作っている人もいます。お金が全てじゃないです。そこはお金以上の精神的な「利益」をもたらしてくれる貴重な場です。

昨今の日本は災害も多く、チャリティと名のつくイベントに参加する事も多くあります。それは僕がそれでもお役に立てるなら参加したい、と思ったからです。
飲食で言えば炊き出しです。上記のケースとはまた違うんです。

ある先輩が言ってました。
「チャリティと言うのであれば、会場に払う使用料もチラシの印刷代も、それぞれの会社にチャリティとして提供してもらえないか交渉してくれ。何故交渉できないところには最初から利益の出る金額を渡して、ミュージシャンには当たり前のように予算がないと言って来るのか。それが解せない。」
かなり気合の入った意見ですが、言いたいことは痛いほどわかります。

お店であれば、例えどんなに思いがあっても、そんなことを続けていたら潰れてしまうんです。喜んでくれるお客様にサービスを提供することが今後一切できなくなってしまうんです。

そういう仲間を嫌という程見てきました。

僕らは仕事として利益を上げるという社会人としての責任と、音楽や芸術という人の気持ちを優先して思いで活動していく職種の、その狭間で活動しています。
一概に「これ以外は受け付けません」と料金表をホームページに掲載するような仕事じゃないですが、それでももう少し大事にして欲しいと思うのです。


こんなことを書いたら「あいつに頼むのはやめとこう」となるかもしれません。

それならばそれはその人の判断です。残念ですが仕方がありません。


それでも「それはわかった上で、それでもどうしても!」の場合はお話は真剣に伺ってます。
難しいもんですね。